国の予防接種プログラムへの新規ワクチン導入に際しては、その効果や保健医療制度への影響について異議を唱える声が聞かれる。とくに既存ワクチン接種への影響について疑念を持つ向きがある。カナダ・マックマスター大学のShearer JC氏らは、新規ワクチン導入の既存ワクチン接種への影響について187ヵ国の状況を調べた。Vaccine誌オンライン版2012年10月22日号の掲載報告。
予防接種システムの実行についてDTPワクチン接種を代替指標とし、新規ワクチンの導入が、乳児の既存予防接種プログラムであるDTPの3回接種の変化と関連するかを調べた。
DTPワクチン3回接種について、多変量国家間縦断混合効果モデルを利用して解析した。
主な結果は以下のとおり。
・1999~2009年の187ヵ国のDTPワクチン3回接種について調査した。
・DTPワクチン3回接種を制御する因子として、肝炎ウイルスワクチン、Hibワクチン、ロタウイルスワクチンとの間でごくわずかな関連が見つかった。
・むしろ、接種頻度や接種率の変動は、国の発展や保健医療制度の変数(武力紛争、出産前ケアサービス範囲、乳児死亡率、個人負担の割合、1人当たりの総医療費用を含む)と関連していた。
・新規導入ワクチンによるDTPワクチン3回接種への影響は認められなかった。新規ワクチンの導入や混合ワクチンの導入にあたっては、免疫獲得や保健医療制度への影響をモニタリングすべきである。
(ケアネット)