統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/14

 

 若年統合失調症患者ではPET(陽電子断層撮影法)を用いた研究により、線条体ドパミンD2/3レセプター占有率を指標とした治療域は65~80%が適切であることが確認されている。慶應義塾大学の内田裕之氏らは、カナダ・Addiction and Mental Healthセンターにて、これまで検討されていなかった高齢統合失調症患者における同治療域の検討を行った。その結果、70%以上では錐体外路症状が出現し、70%未満で解消されることが示された。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は若年患者の場合と比べて治療域が低いことを示すものであり、高齢統合失調症患者ではさらなる治療薬の開発と臨床ガイドラインが重要なことを意味する」と結論した。The American journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2012年10月31日号の掲載報告。

 Addiction and Mental Healthセンターで、オープンラベル介入試験を行った。主要試験目的は、高齢統合失調症患者の臨床アウトカムにおけるD2/3レセプター占有率の変化の影響(RRO)を評価することとした。被験者は、50歳以上で症状が安定しており、経口リスペリドンを6ヵ月以上服用している統合失調症患者で、リスペリドン投与を最大40%減量し3ヵ月間追跡した。背側被殻のドパミンD2/3 RROについて、投与前後にPETスキャンを行いC-ラクロプリドの領域解析にて評価した。臨床評価には、Positive and Negative Syndrome ScaleやSimpson-Angus Scaleなどを含んだ。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者は9例(年齢58±7歳、ベースラインでのリスペリドン投与量3.4±1.6mg/日)であった。
・錐体外路症状は被験者6例でみられた。これら被験者の被殻でのD2/3 RROは70%以上(範囲:70~87%)であった。
・投与量減量後、5例の被験者で錐体外路症状は解消された。
・被験者2例はD2/3 RROが52%および50%未満で臨床的悪化が認められた。

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(ケアネット)