小児と成人の季節性インフルエンザワクチン有効率は解析因子で変化

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/03

 

 小児と成人(高齢者を除く)への季節性インフルエンザワクチンの有効性と、その有効性を規定する因子について検証した結果、有効率の推定は、ワクチンのタイプ(弱毒生、不活化)、接種年齢(小児、成人)、ワクチンとウイルス株の適合度、インフルエンザのタイプ、症例確認の手法といった因子次第で変わることが明らかにされた。インフルエンザワクチンの真の有効性レベルについては議論の的となっており、その推定には多くの因子が影響をもたらす可能性があり、米国・Sanofi PasteurのCarlos A Diazgranados氏らがメタ解析にて検証した。Vaccine誌2012年11月7日号の掲載報告。

 解析は、小児と成人(高齢者除く)のインフルエンザワクチン予防接種の効果を評価すること、およびワクチンのタイプ、年齢、ウイルス株の適合度、インフルエンザのタイプ、症例確認法のワクチン推定有効率への影響を調べることを目的とした。

 2011年10月時点のMedlineとEmBaseを検索し、関連論文の参考文献についてもレビューを行い、季節性インフルエンザワクチンの評価と検査確認されたインフルエンザ発生率を示していた対照試験を適格とした。実験的なチャレンジ後に有効性を評価しているもの、複製データが認められた試験、グループランダム化試験、特定年齢を対象とした試験は除外した。

 ワクチンのインフルエンザ予防に関する有効性は、Mantel-Haenszelリスク比(RR)で算出し、ランダム効果モデルを用いて評価した。各比較群のワクチン有効性は、[(1-RR)×100]にて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・1つ以上の分析が行われていた30試験(計101の分析含む、被験者8万8,468例)が解析に組み込まれた。解析のエビデンスについての不均一性は49%であった。
・ワクチンの有効性は、あらゆるウイルス株に対しては65%であり、適合したウイルス株に対しては78%、非適合ウイルス株に対しては55%であった。
・弱毒生および不活化ワクチンのいずれもが、非適合ウイルス株に対する予防効果は低かった(それぞれ60%、55%)。
・小児においては、弱毒生ワクチン接種のほうが不活化ワクチン接種よりも良好であった(80%vs. 48%)。一方、成人では、不活化ワクチンのほうが弱毒生ワクチンよりも良好であった(59%vs. 39%)。
・非適合ウイルス株に対する有効性について、インフルエンザA型(69%)と、インフルエンザB型(49%)では大きな差(20%)があった。
・ワクチン有効率の推定は、疾患確認を培養法をベースに行った場合、最も高かった。

(ケアネット)