整形外科手術結果について、労災対象患者は非労災対象患者と比べて、不満足となるリスクが倍増することが、メタ解析の結果、示された。ブラジル・サンパウロ連邦大学のVinícius Ynoe de Moraes氏らによる報告で、以前のレビューでも、整形外科のアウトカムは労災補償の有無に強く影響を受けることが示されていた。しかし、レビュー対象論文の方法論がさまざまで、関連性が誇張されている可能性があったという。PLoS One誌オンライン版2012年12月5日発表の報告。
メタ解析の主要な目的は、整形外科手術の結果における労災補償の影響を評価することであった。
MEDLINE(Ovid)、Embase(Ovid)、CINAHL、Google Scholar、LILACS、Pubmedをデータベースに、1992~2012年に公表された論文を、言語を問わず検索した。また、すべての選択論文の参照文献の手動検索も行った。
評価の対象としたアウトカムは、疾患、病変部位や全体的なQOLスケール/質問票(両方またはどちらか)、外科医による結果の判定などであった。
評価は、すべての試験について評価ツールを用いて行った。Review Managerを用いて、試験データ要約のためのフォレストプロット作成と、出版バイアス評価のファンネルプロットを作成した。
主な結果は以下のとおり。
・20の試験報告が、選択適格基準(整形外科手術を要する状態や疾患を有した成人患者に行われた手術アウトカムについて補償状況の影響を評価したすべての前向き試験)を満たしており、解析に組み込まれた。
・整形外科手術後の結果が不満足であったと報告した患者の全体リスク比は、非労災対象患者と比べて労災対象患者は2.08(95%CI:1.54~2.82)であった。
・同様の関連が、評価スケール/質問票を用いた試験の抜粋データで示された(標準平均差:-0.70、95%CI:-0.97~-0.43)。
・本レビューの結果は、レトロスペクティブなデータを含んだ以前のレビューと比べて、リスクはかなり低いものであった。
・患者のアウトカムに関する労災補償の影響について、病原学的な根拠を示すためのさらなる研究が求められる。
(ケアネット)