閉経後日本人女性を対象とした前向きコホート研究の結果、カロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)の血中濃度が高い人ほど、骨減少症および骨粗鬆症リスクが低いことが報告された。農研機構・果樹研究所の杉浦実氏らが、栄養疫学調査「三ヶ日町(静岡県浜松市)研究」の参加者を4年間追跡した結果、報告した。βクリプトキサンチンはみかんに、βカロテンはにんじんに豊富に含まれる。PLoS Oneオンライン版2012年12月20日号の掲載報告。
本研究は、先行疫学研究で、カロテノイドの摂取が高いことが骨の健康を保つのに有用であることが示されていたが、血中カロテノイドと骨密度(BMD)の変化との関連についてはほとんど知られていないことを受けて、血中カロテノイドと骨量減少とが関連するかを調べることを目的に行われた。
研究は、三ヶ日町研究に参加する男性146人と女性311人(閉経前99人、閉経後212人)の計457人を対象に行われた。
被験者は以前に行われたBMDサーベイに参加しており、その後4年間のフォローアップを完了した。
主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ4年の間に、閉経後女性被験者のうち15人が、骨粗鬆症を新規発症した。一方、男性と閉経前女性被験者では発症者はいなかった。
・男性と閉経前女性被験者において、ベースラインで測定した6つの血中カロテノイド類(リコペン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン)と、骨量減少との関連はみられなかった。
・一方、閉経後女性被験者においては、橈骨骨量の減少と、カロテノイド(とくにβカロテン)血中濃度とに逆相関の関連が認められた。
・交絡要因を補正後、βカロテン血中濃度最高三分位値の最低三分位値に対する骨粗鬆症に関するオッズ比(OR)は0.24(95%CI:0.05~1.21)であり、同βクリプトキサンチンについては0.07(同:0.01~0.88)であった。
・βクリプトキサンチンの血中濃度は、骨減少症や骨粗鬆症(両方またはどちらかの)リスクとも逆相関の関連が認められた(傾向のp=0.037)。
・さらに後ろ向き解析の結果、試験期間中の骨粗鬆症や骨粗鬆症(両方またはどちらか)を発症した被験者は、健常者群よりも、ベースラインでのβクリプトキサンチンとβカロテンの血中濃度が有意に低かったことが明らかになった。
・以上の結果、閉経後女性被験者において、抗酸化物質のカロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)は、橈骨BMDと逆相関の関連がある。
(ケアネット)