ロタウイルスワクチン、定期接種化後の有効性を確認

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/15

 

 米国疾病管理予防センター(CDC)のDaniel C. Payne氏らは、ロタウイルスワクチン5価(RV5、商品名:ロタテック、接種回数3回)および単価(RV1、同:ロタリックス、同2回)の両定期接種化後初となる予防効果に関する評価を行った。その結果、両ワクチン効果(VE)は1回以上接種で80%であり、5歳未満児のロタウイルス胃腸炎による病院救急部門(ED)受診および入院に対する顕著な減少効果が認められたことを報告した。米国ではRV5は2006年に、RV1は2008年に定期接種化されたが、それ以前はほとんどの乳幼児がロタウイルスに感染し、ロタウイルスが冬場の急性胃腸炎の最高70%を占め、毎年10億ドルを超える医療・社会的コストが生じていたという。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2013年3月13日号の掲載報告。

 研究グループは、RV5とRV1のワクチン効果(VE)を評価するため、人口動態的および地理的に多様な小児を登録し、ロタウイルス急性胃腸炎での入院およびED受診の低下の状況を調べた。

 全米7施設において、2009年11月~2010年6月、2010年11月~2011年6月に急性胃腸炎(AGE)症状で入院またはED受診した5歳未満児を登録し、糞便検体を用いた酵素免疫測定法にてロタウイルス感染の有無および遺伝子型の確認を行い、感染が確認されたケースのワクチン接種状況をロタウイルス非感染AGEケース(対照例)と比較した。回帰モデルにて、各ワクチン、年齢、民族性、優勢を占めた遺伝子型、臨床評価項目(入院、ED受診)についてVEを算出し検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・RV5接種群は、ロタウイルス感染例359例、対照(ロタウイルス陰性)例1,811例であった。RV1接種群は、同60例、155例であった。
・ロタウイルス関連のED受診および入院に対するVEは、RV5(3回完全接種)は84%(95%CI:78~88)、RV1(2回完全接種)は70%(同:39~86)であった。
・いずれかのワクチン接種1回以上のVEは80%(95%CI:74~85)であった。
・臨床評価項目別にみたRV5のVEは、ロタウイルス関連のED受診に対しては81%(95%CI:70~84)、入院に対しては86%(同:74~91)であった。
・同じくRV1については、ED受診に対して78%(95%CI:46~91)のVEが認められた。入院については試験の検出力が不十分で評価ができなかった。
・明らかな免疫の減衰は、RV5は接種後4年間、RV1は同2年間はみられなかった。
・遺伝子型別にみた場合、RV5は4種類の主要なロタウイルス(G1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G12P[8])に対するVEが統計的に有意であった。RV1も、最も頻度の高い遺伝子型であるG3P[8]に対するVEが統計的に有意であった。

(ケアネット)