スマホアプリで悪性黒色腫リスクの評価は可能なのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/16

 

 高性能なカメラ機能や多彩なアプリケーションを搭載するなど、多機能を誇るスマートフォン。Joel A. Wolf氏らは、そんなスマートフォンに搭載されているアプリケーション(スマホアプリ)のうち4本について、皮膚の病変部の撮影画像を評価し、ユーザーに悪性度をフィードバックする機能を検証した。その結果、アプリによって判定結果が大きく異なり、4本のうち3本のアプリは、悪性黒色腫の30%以上を「問題なし」と誤って分類した。著者は、「監督官庁の認可を受けていないこれらのアプリケーションに頼って、診察の代わりとすることは、悪性黒色腫の診断を遅らせ、ユーザーに害悪をもたらすことになるであろう」と結論した。JAMA Dermatology誌2013年4月号(オンライン版2013年1月16日号)の掲載報告。

 研究グループは、ケースコントロール診断精度研究にて、4本のスマホアプリについて検証した。大学の皮膚科部門にて、委員会認定皮膚科医による組織学的診断で確認された色素性皮膚病変(悪性黒色腫60例、良性対照病変128例)を入手して行われた。いずれもルーチンケアの一貫としての病変除去を受けた患者から、生検前に入手したものであった。
 
 主要評価項目は、4本のスマホアプリの感度、特異度、陽性または陰性適中率とした。各アプリは、非医療者のユーザーが皮膚病変について良性か悪性かを判定できるよう設計されたものであった。

 主な結果は以下のとおり。

・検証した4本のスマホアプリの感度は、6.8%から98.1%までにわたった。
・特異度は、30.4%から93.7%にわたった。
・陽性適中率は33.3%から42.1%にわたり、陰性適中率は65.4%から97.0%にわたった。
・最も感度が高かったアプリは、委員会認定皮膚科医に、解析のために撮影画像を直接的に送付するタイプのものであった。
・一方、最も低かったのは、画像を解析する自動アルゴリズムが組み込まれたタイプのものであった。

(ケアネット)