病院賠償責任保険(以下、医賠責)は施設側が加入するのが通常であるが、個人で加入する医師が増えているという。ケアネットが12日に行ったケアネット・ドットコム会員の勤務医1,000人へのアンケート調査から、勤務医の7割以上が医賠責に個人で加入していることがわかった。その背景には、いつどんな場面で訴訟に巻き込まれるかわからず、病院のみならず担当医も連名で告訴されるなど、患者サイドから訴訟の対象とされる行為の多様化があるという。
アンケート結果概要は以下の通り。
医賠責の加入(保険料自己負担のもののみ)の有無について尋ねたところ、全体の73.4%が「加入している」と回答。年代別に見ると、60代以上で51.2%、30代以下80.0%と、若年層ほど加入率が高い結果となった。また所属施設別では20~99床の施設で54.4%、100~499床で71.3%、500床以上で76.2%、大学病院で91.3%と、施設規模に比例して高い加入率を示した。
「加入している」とした医師に理由を尋ねると、「(病院でなく)自分自身が訴訟の対象になるのが不安」が最も多く72.1%、次いで「いざとなったら勤務先が守ってくれるとは思えない」「複数施設で勤務しているため」がそれぞれ50.1%。「自分の専門科は訴訟リスクが高いため」との回答は加入医師の7.6%で、診療科に関係なく『患者側に不幸な転機をすべて“医療ミス”にしたがる風潮がある』『高度な医療をする医師がいなくなるのでは』といった意見が多く見られた。
「(現時点で)加入していない」とした医師の理由としては「病院が加入する保険で足りていると思うため」が最多となり77.1%であった。一方「侵襲的な診療行為をしていないため」は9.0%、「自分の専門科は訴訟リスクが高くないと思うため」は4.9%。医賠責非加入の医師に関しても“自身が訴訟に巻き込まれる可能性は低いから”との考えは少数派であり、回答者全体で見ると9割以上が“ある程度の訴訟リスクを想定”していることが明らかとなった。
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