臨床的に安定している統合失調症患者に対するカベルゴリン(商品名:カバサールほか)の投与は、精神病理状態に悪影響を及ぼすことなく性機能を改善する可能性があることが、Christina S. Kalkavoura氏らによる検討の結果、示唆された。また本検討により、高プロラクチン血症の重症度に見合ったカベルゴリンの投与量も明らかになった。Experimental and Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。
抗精神病薬は、高プロラクチン血症を引き起こす可能性があり、それによりさまざまな程度の性機能障害と関連する。研究グループは、プロラクチン(PRL)の分泌は、主に視床下部のドパミン作動系により制御されていることを踏まえて、ドパミンアゴニストであるカベルゴリンの性機能障害への影響について調べる、6ヵ月間の並行群間前向き試験を実施した。対象者は、臨床的に安定している統合失調症(DSM-IV、AP194)で、高プロラクチン(PRL)血症(男性:PRL>20ng/mL、女性:PRL>25ng/mL)の患者80例であった。被験者は、PRLレベル(<50、50~99、>100ng/mL)に応じて、カベルゴリンを0.25mg/日(38例)、0.5mg/日(23例)または1mg/日(19例)を投与された。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により精神病理を、Arizona Sexual Experiences Scale(ASEX)により性機能を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者80例は、リスペリドン(33例)、ハロペリドール(17例)、アミスルプリド(11例、国内未発売)、リスペリドン持効性製剤(8例)の投与を受けていた。
・カベルゴリン投与により、全患者でPRLレベルが減少した。ベースライン73.3(±46.8)ng/mLから3ヵ月後に42.0(±27.8)ng/mL、6ヵ月後に27.1(±20.4)ng/mLとなった(p<0.001)。
・ASEXスコアは、ベースラインの19.1(±5.1)から3ヵ月後に17.6(±5.5)、6ヵ月後に15.0(±6.5)へと低下した(p<0.001)。
・PANSSスコアは、3ヵ月および6ヵ月後ともに低下が認められた(6ヵ月後の対ベースラインp=0.001)。
・PRLの減少について、患者群間における統計学的な差はなかった。
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(ケアネット)