韓国・カトリック大学校のChul Hwan Bang氏らは、1990年代と2000年代の転移性皮膚がんの動向を調査した。韓国では、がん罹患率は全体的に増大してきているが(10万人当たり1999年210.5、2007年254.5)、部位別にみると増大にはバラつきがあり、両年代間で罹患率上位を占めるがんに変動がみられていた(たとえば、甲状腺がんと大腸がんは増大したが、子宮頸がんは減少)。Bang氏らは、それに伴い転移性皮膚がんにも変化が考えられるとして本調査を行った。転移性皮膚がんの動向についての報告は、世界的にもほとんどされていないという。Journal of Korean Medical Science誌2013年7月号(オンライン版2013年7月3日号)の掲載報告。
研究グループは、1991~2010年の20年間に、カトリック大学校の8つの関連病院(うちソウル市内に3病院)皮膚科部門で診断された転移性がんについて、後ろ向きに調査した。統計的比較を行うため、10年ずつ2区分に分け、罹患率、患者のピーク年齢および部位の動向を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・1991~2010年に受診した外来患者69万4,466例のうち、転移性皮膚がんと診断された患者は174例(0.025%)であった。
・転移性皮膚がんの罹患率は、外来患者10万人当たり1990年代は20.64例であったが、2000年代は28.70例と有意に増大した(p=0.030)。
・転移性皮膚がん患者のピーク年齢は、両年代間で、女性は40歳代から50歳代に、男性は50歳代から60歳代へとシフトしていた。
・腹腔内臓器からの転移性皮膚がんの割合は、1990年代の10%から2000年代は23.1%へと増大した(p=0.027)。
・腹部に認められた転移性皮膚がんの割合は、1990年代の7.1%から2000年代は15.4%へと増大した(p=0.011)。
・著者は、「転移性皮膚がんが腹部で高率であるのは、腹腔内臓器からの皮膚転移増大と関連している可能性がある」と述べている。
(ケアネット)