慢性疼痛は認知機能障害に影響するのか

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/04

 

 慢性疼痛を有する人は概して認知機能障害を有しているといわれる。オーストラリア・南オーストラリア大学のCarolyn Berryman氏らは、その関連を明らかにするため慢性疼痛患者におけるワーキングメモリ機能に関する文献のシステマティックレビューを行った。その結果、これまでの報告はバイアスリスクならびに不均一性が高いことが明らかになったと報告。そのうえで著者は、「明確に定義されたワーキングメモリの構成概念および標準化された検査方法を使用すれば、さらなる研究で成果が得られるだろう」とまとめている。Pain誌2013年8月号(オンライン版2013年3月14日号)の掲載報告。

 研究は、コクラン共同計画およびシステマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目(PRISMA声明)に従って行われた。

 6つのデータベースを用いて検索し、行動的評価項目および生理学的評価項目について慢性疼痛患者と対照者を比較した観察研究24件を対象として選定した。

 主な結果は以下のとおり。

・すべての研究は、結果を盲検化した査定が行われておらずバイアスリスクが高かった。
・24件の研究は、異なるワーキングメモリ検査が用いられ(21種類)、異なるワーキングメモリ構成概念(9種類)、異なる慢性疼痛疾患(9種類)の患者集団が包括されており、不均一性が高かった。
・統合解析の結果、不均一性が高いにもかかわらず行動的評価項目については一貫して中等度の影響が示された。一方、生理学的評価項目については、1件の研究を除き影響があるというエビデンスは示されなかった。

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(ケアネット)