フランスの総合病院では、消化性潰瘍患者の5人に1人がヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染ともNSAIDs/アスピリン内服とも関連のない特発性潰瘍であることが、仏・ヴィルヌーヴ・サン・ジョルジュ病院消化器内科 C.Charpignon氏らによる研究で明らかになった。Alimentary pharmacology & therapeutics誌オンライン版2013年8月27日号の報告。
現在、H.pylori感染やNSAIDs/アスピリンの内服と関連のない消化性潰瘍について議論されている。
本研究では、フランスの総合病院32施設の消化性潰瘍患者を対象に、消化性潰瘍の疫学的および臨床的特徴について1年以上にわたり前向きに調査した。H.pylori感染は、組織学的検査、血清学的検査、13C-尿素呼気試験により診断した。NSAIDsやアスピリンの服薬状況、合併症についてのデータは、内視鏡検査当日にカルテや聞き取りによって調査した。
主な結果は以下のとおり。
・2009年の間に試験に登録された消化性潰瘍患者933例のうち、びらん性十二指腸炎や、他の原因による潰瘍を認めた症例などを除外した713例を以下の4群に分類した。
H.pylori(+)、NSAIDs/アスピリン内服なし 285例(40.0%)
H.pylori(+)、NSAIDs/アスピリン内服あり 141例(19.8%)
H.pylori(-)、NSAIDs/アスピリン内服あり 133例(18.7%)
H.pylori(-)、NSAIDs/アスピリン内服なし 154例(21.6%)
・H.pylori陰性で、NSAIDsやアスピリンの内服もしていない特発性潰瘍の患者の割合は21.6%であった。
・特発性潰瘍患者の臨床的特徴はH.pylori陽性患者、NSAIDs/アスピリン内服患者と多くの点で異なっていた。
・多変量解析の結果、年齢、都会生まれ、合併症が特発性潰瘍の独立した予測因子であることがわかった。
・以上の結果により、フランスの総合病院では、消化性潰瘍患者の5人に1人がH.pylori感染ともNSAIDs/アスピリン内服とも関連のない特発性潰瘍であることが明らかになった。
(ケアネット 武田 真貴子)