青年期の外傷性脳損傷後3年時点で24.3%が持続痛

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/18

 

 青年期における外傷性脳損傷(TBI)後の持続痛の実態について調べた結果、受傷後3年の時点で24.3%が持続痛を有しており、長期の健康関連のQOL低下と関連していることなどが明らかにされた。米国・ワシントン大学のSee Wan Tham氏らによる報告で、同様の検討はこれまで行われていなかったという。Journal of Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年8月2日号)の掲載報告。

 TBIは小児の身体障害の主要な原因である。持続痛は重大な損傷後合併症と認識されているにもかかわらず、青年期の損傷後疼痛に関するデータは不足していた。そこで研究グループは、青年期におけるTBI後の持続痛の有病率を調べ、疼痛リスク因子を特定し、青年期疼痛の健康関連QOLへの影響について評価する初の調査を行った。

 軽度~重度のTBIを経験した若者144例について、受傷後36ヵ月超追跡し、3、12、24、36ヵ月時の疼痛強度、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、健康関連QOLについて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・本検討は、若者のTBI後持続痛の有病率について長期にわたって追跡調査し、またその健康関連QOLへの影響について調べた初の調査である。
・TBI後のすべての評価時点(3、12、24、36ヵ月)で持続痛(通常疼痛強度≧3/10と定義)を報告した若者は、24.3%であった。
・36ヵ月時点で持続痛を有する予測因子は、女性(オッズ比:2.73、95%信頼区間:1.12~6.63)、受傷後3ヵ月時点での抑うつ症状が高値(同:1.26、1.12~1.43)であった。
・混合線形モデルによる評価の結果、TBI後3ヵ月という早期の時点で痛みを有していることが、長期の不良な健康関連QOLと有意に関連していることが示された。
・以上の結果から、TBIを有した若者について、タイムリーな評価、および疼痛の発現および影響を最小限とするための介入がベネフィットにつながることが示唆された。

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(ケアネット)