高齢女性では脊椎骨折歴が腰痛と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/23

 

 高齢者の健康関連QOL(Health-related quality of life:HRQL)に対する、脊椎骨折既往歴の影響はほとんど知られていない。ノルウェー・トロムソ大学のSvanhild Waterloo氏らは、地域住民ベースの「トロムソ研究」に参加した50歳以上の男女について解析し、女性においては脊椎骨折既往歴が腰痛リスクの増加およびHRQL低下に関連することを明らかにした。BMC Geriatrics誌オンライン版2013年9月30日号の掲載報告。

 研究グループは、高齢者における脊椎骨折既往歴と腰痛、頸部痛およびHRQLとの関連、ならびに疼痛とHRQLの性差について調査した。

 脊椎骨折既往歴は椎体骨折評価(VFA)法(二重エネルギーX線吸収測定法 [DXA]、GE Lunar社製Prodigy)により確認し、大腿部の骨密度をDXA法により測定するとともに、EuroQolグループで開発されたEQ-5D 3段階版(3L)と、EQ VASを用いたHRQLを評価した。

 解析対象は、2007~2008年に行われたトロムソ研究の参加者2,887例(平均年齢65.4±9.4歳)のうち、50歳以上の男性1,177例、女性1,615例であった。


 主な結果は以下のとおり。

・女性では、脊椎骨折の既往は腰痛リスクの増加と関連していた(年齢、身長、体重およびBMDで補正後のオッズ比1.76(95%信頼区間:1.24~2.50)であった。
・脊椎骨折を有している女性は、有していない女性に比べEQ-5D-3Lスコアが補正後も低かった(p<0.001)。
・男性では、女性で示されたような関連は認められなかった。
・骨折型はEQ-5D-3Lスコアと関係していなかったが、骨折数の増加(p<0.001)および骨折の重症度(p<0.002)は、女性においてEQ-5D-3Lスコアの減少と関係していた。

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(ケアネット)