超高齢社会となったわが国では、高齢者のQOL維持や健康寿命の延長、医療費低減のために、筋骨格系疾患の予防対策が急がれる。しかしながら、本疾患の疫学エビデンスの集積はまだ十分ではない。東京大学医学部附属病院22 世紀医療センターの吉村 典子氏らは、全国9地域の1万2,019人の情報を統合したThe Longitudinal Cohorts of Motor System Organ(LOCOMO)スタディのデータを用い、膝痛と腰痛(およびその共存)について、有病率や関連因子を報告した。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2013年11月9日号に掲載。
LOCOMOスタディは、筋骨格系疾患の予防を目的に設けたいくつかのコホートからの情報を統合するために、厚生労働省より助成金を受け2008年に開始された研究である。
著者らは、東京(2地域)、和歌山(2地域)、広島、新潟、三重、秋田、群馬の各都県に位置する9地域を含むコホートで1万2,019人(男性3,959人、女性8,060人)の情報を統合し、評価した。LOCOMOスタディのベースライン調査では、インタビュアーによるアンケート、身体計測、医療情報の記録、X線撮影、骨密度測定が行われた。
ベースライン調査の主な結果は以下のとおり。
・膝痛の有病率は32.7%(男性27.9%、女性35.1%)、腰痛の有病率は37.7%(男性34.2%、女性39.4%)であった。
・ベースライン調査で膝痛・腰痛の両方について調査された9,046人のうち、どちらの痛みもある人は12.2%(男性10.9%、女性12.8%)であった。
・ロジスティック回帰分析により、「高齢」「女性」「高BMI」「農村地域居住」「腰痛あり」が、「膝痛あり」に有意に影響していることが示された。同様に、「高齢」「女性」「高BMI」「農村地域居住」「膝痛あり」は、「腰痛あり」に有意に影響していた。
(ケアネット 金沢 浩子)