オメガ3多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)には皮膚悪性腫瘍に対する予防的効果は、現状ではエビデンスに乏しいものであることを、オーストラリア・Albany Health CampusのSophie E Noel氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。ラボデータでは、n-3 PUFAは皮膚悪性腫瘍に対して予防的効果があることを示唆されているが、ヒトを対象とした大規模レビューは行われていなかった。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年11月21日号の掲載報告。
本検討は、n-3 PUFA摂取と皮膚がん発生率との関連を明らかにすることを目的とし、2013年3月までに発表された無作為化対照試験と観察試験をレビューの対象とした。
n-3 PUFA経口摂取と、基底細胞がん(BCC)、扁平上皮がん(SCC)、メラノーマ(悪性黒色腫)(またはこれらの複合)の発生率との関連について検討していた5試験(2件はケースコントロール試験、3件はコホート試験)が特定され、ランダム効果メタ解析に組み込まれた。
さらに6試験について、非摂取性n-3 PUFA曝露(組織分析など)と皮膚がんリスクのバイオマーカー(p53など)について検討しており、質的解析に組み込んだ。
主な結果は以下のとおり。
・n-3 PUFA摂取とBCCの関連は認められなかった(プールオッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.86~1.28)。
・高値のn-3 PUFA摂取と悪性黒色種とは、逆相関の関連がみられたが、1試験のみの推定値であった(OR:0.52、95%CI:0.34~0.78)。SCCとの関連は有意ではなかった(プールOR:0.86、0.59~1.23)。
・以上のように、入手できたエビデンスは示唆的ではあったが、現状では、n-3 PUFAに皮膚悪性腫瘍に対する予防的効果があるとの仮説を支持するには不十分であった。
(ケアネット)