うつ病と2型糖尿病併存の臨床像は、うつ病が糖尿病より先行しているか、糖尿病発症後にうつ病を発症したかによって、大きく異なることが明らかにされた。オーストラリア・西オーストラリア大学のDavid G. Bruce氏らが、Fremantle Diabetes Study Phase IIの被験者について、分析を行い報告した。結果を踏まえて著者は、「時間的パターンに留意することで、2型糖尿病患者におけるうつ病の、病因、診断や治療の研究を前進させることに結びつくだろう」と結論している。PLoS One誌2013年12月号の掲載報告。
研究グループは、住民ベースの観察研究Fremantle Diabetes Study Phase IIの2型糖尿病患者を対象とした。被験者は、うつ病(lifetime depression)の評価をBrief Lifetime Depression Scale(本研究のために開発・検証したスケール)を用いて受けており、最近のうつ症状(Patient Health Questionnaire-9;PHQ-9)と抗うつ薬の使用に関する情報も補足して分析した。
主な結果は以下のとおり。
・評価は、患者1,391例(平均年齢65.7±11.6歳、男性51.9%)を4群に層別化して行った。第1群「非うつ病群」58.7%、第2群「糖尿病診断前にうつ病を診断されていた群」20.8%、第3群「うつ病と糖尿病を2年以内に診断されていた群」6.0%、第4群「糖尿病診断後にうつ病を診断された群」14.5%であった。
・第2群「糖尿病診断前うつ病診断群」のうつ病診断時期は、中央値15.6年前で発症時の年齢は37.2±14.7歳であった。
・この第2群の患者の臨床的特徴は、セルフケア行動の減退、症候性末梢動脈疾患が多くみられることを除いて、非うつ病患者と類似していた。
・第4群「糖尿病診断後うつ病診断群」のうつ病診断時期は、中央値9.9年後で発症時の年齢は59.8±13.0歳であった。
・この第4群の患者の糖尿病罹患期間は長く、血糖コントロールが不良で、より強化された治療を受けており、糖尿病性合併症を多く有していた。
・また第4群は第2群患者よりも現在うつ病を有している患者が多く、しかし抗うつ薬を投与されている患者は少ない傾向がみられた。
・以上のように、うつ病と2型糖尿病の臨床像は、それらの時間的関係性によってさまざまであることが示された。これらの知見は、糖尿病患者におけるうつ病の発症には複数のパターンがあり、それが診断と治療において重要な意味を持つことが示唆された。
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