ヒトライノウイルス感染後の細菌感染、繰り返すCOPD増悪の原因に

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/03/31

 

 ヒトライノウイルス(HRV)感染後は、二次性細菌感染を起こすことがよくあり、これがCOPD増悪の再発の機序と考えられ、新たな治療に向けた潜在的なターゲットとなりうることが、ロンドン大学のSiobhan Nicole George氏らによって報告された。The European Respiratory Journal誌オンライン版2014年3月13日の掲載報告。

 HRV感染はCOPD増悪の重要なトリガーであるが、増悪の自然史において、その頻度を決定づけるHRVのフェノタイプや感染後の経過についてはあまり知られていない。HRV(388サンプル)と肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス(89サンプル)の両方に関して、77例の患者からの喀痰サンプルをリアルタイム定量PCRによって分析した。増悪の定義は、日誌で呼吸器症状の悪化が認められた場合とした。

 主な結果は以下のとおり。

・増悪時のヒトライノウイルスの検出率やウイルス量は、安定期と比べて有意に高かったが(検出率53.3% vs 17.2%、それぞれp<0.001)、増悪後の35日間までには、0%まで低下していた。

・風邪症状を有する患者、喉の痛みを有する患者では、それらがない患者と比べて、HRVの量が有意に多かった(それぞれ、p=0.046、p=0.006)。

・細菌は陰性でHRVは陽性だった患者の73%は、14日間以内に細菌が陽性になっていた。

・増悪時に、HRVが検出された患者は、検出されなかった患者と比べて、1年間当たりの増悪回数が有意に多かった(3.01回/年 [四分位範囲:2.02~5.30] vs 2.51回/年 [2.00~3.51]、p=0.038)。

 COPD増悪時にはHRVの検出率やウイルス量が多かったが、回復後は治癒していた。また、増悪を繰り返すことで、HRVに感染しやすくなることもわかった。

■「COPD増悪」関連記事
COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

(ケアネット 鎌滝 真次)