認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/30 認知症患者では、嚥下の問題がないにもかかわらず摂食障害が起こりうる。東北大学の目黒 謙一氏らは、アルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)患者における、食物と味覚に関する認知機能を検討した。その結果、AD、VaD患者とも健常人と比較して食物および味覚に関する認知機能が低下していること、味覚認知障害が脳の島皮質の障害と関連していることを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 健常対照(HC)15例、AD患者30例、VaD患者20例を対象とし、食物認知テストと味覚認知テストを行った。食物認知テストでは、日本で一般的な無臭の3つの食物のレプリカを被験者に見せ、それぞれの食物の名称を答えてもらった。その後、食品素材のレプリカを見せ、前述の食物の中にそれが含まれているかどうか質問した。味覚認知テストでは、12 種類の食物のレプリカを見せ、想定される味を質問した。 主な結果は以下のとおり。 ・食物/味覚認知テストの結果、AD群およびVaD群は、健常対照群と比較してスコアが有意に低かった。 ・AD群において、これらスコアはMini-Mental State Examination(MMSE)スコアと逆相関の関係にあった。 ・ADおよびVaD患者50例中12例に、食事の摂取量減少が認められた。その12例のうち8例は味覚認知テストのスコアが低く、この割合は正常な食事量摂取患者における比率よりも高かった。 ・濾紙ディスクによる味覚検査において、3群間で差はなかった。 ・島皮質と味覚認知が関連しているという仮説を検証するため、MMSEをマッチさせた2つのADサブグループ(10例 vs. 10例)でPET検査を行ったところ、味覚認知機能が低いサブグループでは、脳の右島皮質の糖代謝がより低下していた。 ・VaD 患者においても、島領域で同所見がみられる場合、味覚認知が障害されていた。 ・以上より、認知症患者の介護に際しては、食事摂取という観点から認知機能を考慮することが重要だと考えられた。 関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Suto T, et al. Int Psychogeriatr. 2014 Apr 3:1-12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 中等~重度の椎骨脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/Lancet(2024/12/26) 重症血友病A、新たな第VIII因子発現遺伝子治療が有望/NEJM(2024/12/26) 日本のメモリークリニックにおける聴覚障害や社会的関係とBPSDとの関連性(2024/12/26) 一部の主要ながんによる死亡回避、予防が治療を上回る(2024/12/26) 抗菌薬と手術、小児の虫垂炎に最善の治療法はどちら?(2024/12/26) 動物性から植物性タンパク質への摂取移行は心臓の健康に有益(2024/12/26) 歯周病と糖尿病の強固な関連(2024/12/26) 抗凝固薬とNSAIDsの併用は出血リスクを高める(2024/12/26) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)