アトピー性皮膚炎治療に高周波超音波モニタリング導入を

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/19

 

 免疫抑制剤の一種でアトピー性皮膚炎(AD)に対するリアクティブおよびプロアクティブ治療の有効性が確立しているタクロリムスの塗布治療について、非侵襲的なモニタリング方法として高周波超音波検査法(HF-USG)を用いる検討が、ポーランド・ポズナン医科大学のAdriana Polanska氏らにより行われた。タクロリムス治療の安全性および有効性については、すでに無作為化試験で検討されているが、皮膚への作用の評価指標は異なるスコアや尺度によって行われてきたことから、本検討が計画された。Skin Research Technology誌オンライン版2014年6月4日号の掲載報告。

 研究グループは、6ヵ月間のタクロリムス治療の観察を、HF-USG(真皮上層低エコー領域[SLEB]に定量)とエバポリメーターによる高周波の超音波検査で行う検討を行った。

 AD患者39例(平均年齢26.3±12.8歳)を対象に、4週間ごとの外来受診時に同測定を行い(計7回)、右前肘窩で疾患重症度の評価を、医師の総合評価(IGA)に基づき行った。

 主な結果は以下のとおり。

・39例で試験を開始したが、6ヵ月間の試験を完了したのは22例(54.6%)であった。
・39例のうち、31例(79.5%)が4週間以上のプロアクティブ治療を受けた。
・治療期間中、IGA、SLEB、TEWLには統計的に有意な変化が観察された。
・また、病変部と非病変部のSLEB、TEWLにも、統計的に有意な差がみられた。
・以上のように、アトピー性皮膚炎のタクロリムス治療ではHF-USGが有用であることが示された。
・同ツールは簡便で再現性があり、in vivoでの皮膚すべての病理学的な変化を想起させることが可能である。

 これらを踏まえて著者は、「非侵襲性で客観的な判定方法として、HF-USGは、共通のスコアまたは尺度を有しており、とくにエビデンスベースの医療の時代であることから、アトピー性皮膚炎の疾患重症度のあらゆる評価に組み込むべきである」とまとめている。

(ケアネット)