これまで慢性腰痛に対する催眠療法の有効性については報告されていたが、臨床的に意味のある効果を得るためには、最低何回実施する必要があるか、あるいは家庭での実施や催眠のかかりやすさがどう影響するかなどについては検討されていなかった。シンガポール国立大学のTan Gabriel氏らはバイオフィードバックを対照とした無作為化試験を行い、自己催眠訓練2回と家庭での実践は、自己催眠訓練8回と同様に有効であることを明らかにした。著者は、「ほかの患者群でこの結果が再現されれば、催眠療法は慢性疼痛の治療に重要な意味を持つ」とまとめている。European Journal of Pain誌オンライン版2014年6月17日号の掲載報告。
検討は、慢性腰痛を有する退役軍人100例を対象とし、以下の4群に無作為化に割り付けて行われた。
A:自己催眠訓練8回+家庭での実践(録音なし)
B:自己催眠訓練8回+家庭での実践(録音あり)
C:自己催眠訓練2回+家庭での実践(録音あり)+週1回の電話
D:対照(バイオフィードバック療法8回)
主な結果は以下のとおり。
・4群すべて、治療前後で疼痛の強度、生活妨害度および睡眠の質が有意に改善した。
・催眠療法を用いた3つの群を合わせると、対照群に比べ疼痛強度が有意に低かった。
・催眠療法を用いた3つの群間で、有意な差はみられなかった。
・催眠療法群の半数以上で、臨床的に有意な疼痛の改善(疼痛強度が30%以上低下)が認められ、さらにその効果は治療後6ヵ月以上維持されていた。
・被催眠性および家庭での実践回数は、どちらも治療効果と関連していなかった。
(ケアネット)