低炭水化物食 vs 低脂肪食

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/07

 

低炭水化物ダイエットの善しあしについては、よく議論されているが、BMI 30以上の肥満例では、よい選択肢かもしれない。ただし、本試験は24週の結果であり、より詳細な試験結果が待たれる。

低炭水化物食と低脂肪食の効果を、肥満2型糖尿病患者を対象に24週間比較した。

その結果、とくに低炭水化物食群で血糖変動の減少など有意な効果が認められた。なお、どちらも血糖指標やCVDリスクマーカーへの好影響が認められた。


方法:24週にわたる食事療法


●対象:肥満の2型糖尿病成人115例
●平均BMI:34.4±4.2
●平均年齢:58±7歳
●期間:24週間(運動プログラムも同時に実施)
●試験:無作為化試験
 ・低炭水化物食群 : 炭水化物14%[<50g/日]、タンパク質28%、脂肪58%[飽和脂肪<10%]
 ・低脂肪食群 : 炭水化物53%、タンパク質17%、脂肪30%[飽和脂肪<10%]

▼評価項目▼
HbA1c、血糖変動(48時間の持続血糖モニタリングによる評価)、
糖尿病治療薬の減薬(medication effect score[MES]により評価)、血清脂質、血圧


結果:低炭水化物食群で血糖変動の減少に有意な効果


●低炭水化物食群で血糖変動が有意に減少
・TG:-0.5±0.5 mmol/L vs. -0.1±0.5 mmol/L、p≦0.03
・MES:-0.5±0.5 vs. -0.2±0.5、p≦0.03
・血糖変動は低炭水化物食群で少なかった(p≦0.03)
※低炭水化物食群 vs. 低脂肪食群 

●サブグループ解析でHbA1c値に有意差あり
(ベースライン値HbA1c>7.8%およびHDL-C<1.29mmol/Lの被験者で比較)

・HbA1c:-2.6±1.0% vs. -1.9±1.2%、p=0.002
・HDL-C:0.2±0.3 mmol/L vs. 0.05±0.2 mmol/L、p=0.007
※低炭水化物食群 vs. 低脂肪食群 

●試験終了率は両群間で有意差なし(p≧0.50)
・24週時点での試験終了者:93例
・試験終了率(低炭水化物食:79%、低脂肪食: 82%)
・体重減少(低炭水化物食: -12.0±6.3kg、低脂肪食: -11.5±5.5kg)
・両群ともに下記指標が減少(p≧0.10)
 血圧(-9.8/-7.3±11.6/6.8mmHg)、空腹時血糖値(-1.4±2.3mmol/L)、
 およびLDL-C(-0.3±0.6mmol/L)


考察:「低炭水化物食」は低脂肪食よりメリットをもたらすかもしれない


本試験は、BMI平均34.4の高度肥満例に対する24週の検討であった。結果、低炭水化物食による介入は低脂肪食以上に、血糖変動などへの好影響が期待できることが明らかになった。

低炭水化物ダイエットの善しあしについては議論が続いている。ただし、肥満例の2型糖尿病患者に半年程度の食事療法を行う場合に関していえば 「低炭水化物食」 は低脂肪食よりも効果的なアプローチかもしれない。

(ケアネット 佐藤寿美)