アクティブな理学療法(PT)を受けるほど、患者の疼痛強度は改善することが、米国・ワシントン大学のSean D. Rundell氏らが3,771例を対象に行った前向きコホート研究の結果、報告した。ただし結果については慎重に解釈する必要があるとしている。高齢者において、どのようなPTをどれくらい実践すれば腰痛症や身体機能と関連するかは明らかとなっていない。研究グループは、それらの関連を明らかにするため1年間にわたる検討を行った。Physical Therapy誌オンライン版2014年10月2日号の掲載報告。
検討は、腰痛症で一般医を新規に受診した3,771例の高齢者を登録して行われた。12ヵ月間のPTの利用を電子ヘルス記録から調べ、患者の自己申告によるアウトカムデータ(腰部関連障害:ローランド・モリス障害質問票、腰痛・下肢痛強度:11ポイント評価尺度で評価)を集めて検討した。
周辺構造モデルを用いて、PT利用量別効果の平均値を、患者の障害程度、疼痛強度、アクティブ、受動的、徒手的のPT別に算出した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者の1,285例(34.1%)が、何らかのPTを受けた。
・PT利用と腰部関連障害スコアについては、統計的に有意な関連はみられなかった。
・受動的および徒手的PTの利用は、疼痛アウトカムと関連性が認められなかった。
・アクティブPT利用が大きいほど、利用のなかった患者と比べて、腰部(p=0.023)および下肢(p<0.001)の疼痛低下との関連が認められた。また、腰部および下肢の臨床的に意味のある改善オッズの増大も認められた(それぞれp=0.001、p<0.001)。
・なお本検討は、高レベルのPT利用者が少なかったこと、利用量に関する非線形関係の検定の精度および検出力に限界があり、結果は限定的なものであり、著者は「慎重に解釈すべき」としている。
(ケアネット)