遺伝および特異的生活習慣の因子は、慢性腰痛発症に有意に寄与すると考えられている。オーストラリア・シドニー大学のD.R.G. Junqueira氏らは、これまでの同仮説の検証の失敗(遺伝学的補正の失敗、標準的および妥当性が検証された慢性腰痛や生活習慣因子を用いていなかった)を踏まえて、双子の腰痛患者を対象に遺伝および生活習慣因子について調べる検討を行った。結果、身体活動のタイプ、頻度、期間が慢性腰痛の重要なリスク因子である可能性を報告した。European Journal of Pain誌2014年11月号(オンライン版2014年4月15日号)の掲載報告。
調査は、伝統的な双子の対象試験デザイン、および検証定義された慢性腰痛と生活習慣因子を用いて行われた。それらのオーストラリアの双子の慢性腰痛有病率への遺伝および環境の寄与を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・105組の双子からデータを得られた。慢性腰痛の有病率は、遺伝的に有意であることが示された(遺伝率32%)。
・また、一卵性双生児のほうが、二卵性双生児よりも、2人のうち1人が腰痛になると慢性腰痛となる可能性が5倍高かった。
・症例対照分析(38組)において、探索的分析により、慢性腰痛の有病率が高いことと関連している因子として、軽い歩行運動、精力的なガーデニング、住宅近くでの重労働が明らかになった。
・日中を座位で過ごすことも、慢性腰痛との正の関連が認められた。一方で、中等度の身体活動(ジョギング、サイクリング、水泳)は関連が認められなかった。
・最後に多変量モデルにおいて、精力的なガーデニング、住宅近くでの重労働の「活動時間」のみが、慢性腰痛との関連を維持する因子であった(オッズ比:6.5、95%信頼区間:1.47~28.8)。
・さらなる検討で、ガーデニングや家事など、かがんだり腰をひねったりする頻度が高い動作を必要とする人の活動と慢性腰痛との関連を調べる必要がある。
(ケアネット)