日本人の男性型脱毛症(AGA)の薄毛プロセスは、毛髪の濃さよりも毛包が小さくなることが寄与していることが、資生堂研究センターのA. Ishino氏らによる検討の結果、報告された。25歳以上でAGAを有している人ではその傾向が明らかだという。British Journal of Dermatology誌2014年11月号(オンライン版2014年10月19日号)の掲載報告。
AGAは男性における最も頻度の高い脱毛症タイプであり、薄毛の進行プロセスとしては、毛包が徐々に小型化していき、毛髪が失われていく。しかし、毛髪の密度や太さのAGAへの寄与については不明なままであった。
研究グループは、日本人のAGA男性および非AGA男性を対照に、毛髪の密度と太さについて調べ、毛髪後退プロセスにおけるこれらの因子の重要性を明らかにする検討を行った。
頭頂部の毛髪所見を写真で評価。毛髪密度は、写真ベースでビデオマイクロスコピーテクニックを用いて測定し、毛髪の太さ(直径)はフォトトリコグラムで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・検討には、日本人のAGAおよび非AGA男性369例が含まれた。AGA男性は全員、25歳以上であった。
・全AGA男性の太毛(>80μm)の平均密度は、25歳以上の非AGA男性と比べて、有意に低かった(p<0.01)。
・一方で、AGA男性の産毛(<40μm)の平均密度は、有意に高かった(p<0.001)。
・対照的に、平均毛髪密度は、全AGA男性と25歳以上の非AGA男性とで有意差は認められなかった。
・ただし、25歳未満の非AGA男性の平均毛髪密度は、25歳以上の非AGA男性(p<0.001)および全AGA男性と比べて有意に高値であった。
(ケアネット)