ドイツ・ベルリン大学シャリテ病院のNatalie Garcia Bartels氏らは、乳児における、おむつクリームおよびウェットシートといったおむつケア商品の皮膚バリアへの影響を、濡れタオル処置とを加えた3群による比較で、前向き無作為化試験にて調べた。結果、ケア商品を使うと皮膚の水和が減少することや、一方で、おむつ皮膚炎の発生および経過は3群で変わらなかったことなどを報告した。Pediatric Dermatology誌2014年11月号の掲載報告。
さまざまなおむつケア商品の、乳児の皮膚バリア機能への影響を調べた検討は、これまでにわずかしかないが、客観的な方法を用いた評価は可能である。
研究グループは、単施設にて、健康な生後9ヵ月(±8週間)の乳児89例を3群に無作為に割り付けて検討した。グループ1は、おむつ交換時に濡れタオルを使用する群(30例)、グループ2は、さらにおむつクリームを1日2回の頻度で塗布する群(28例)、グループ3は、おむつ交換時にウェットシートを用い、おむつクリーム1日2回塗布する群(31例)であった。
おむつが当たっていた皮膚(臀部の上部外側部分)、おむつが当たっていない皮膚(大腿部)、おむつ皮膚炎(DD)が生じていた部位について、1日目、4週目、8週目に最も影響が認められた皮膚領域を用いて経表皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚の水和(SCH)、皮膚pH、インターロイキン1α(IL-1α)値、微生物学的コロニー形成の測定評価を行った。また皮膚の状態を、新生児スキンコンディションスコア、おむつかぶれの程度で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・おむつが当たっていた皮膚において、SCHがグループ2と3では減少していた。一方でTEWL値の低下がグループ2でのみみられた。
・皮膚pHは、グループ2と3では上昇した。
・全体に、SCH、皮膚pH、IL-1値は、おむつが当たっていない皮膚よりも当たっていた健常な皮膚で上昇していた。
・DDの発生および経過は、3群で類似していた。
・DD部位は、TEWLや皮膚pHが、影響のなかった皮膚と比べて高値であった。
・おむつクリーム塗布を受けた乳児のおむつが当たっていた部分の皮膚は、おむつが当たっていなかった部分の皮膚と比べて、SCHとTEWLは低値であり、皮膚pHは高値であった。
・DD発生との相関性は認められなかった。
(ケアネット)