非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含む生活習慣病における介入は、過体重および肥満者にフォーカスしていたため、正常体重者のNAFLD発症における成人期の体重増加の影響は明らかになっていない。
聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センターの木村 武志氏らによる横断的研究の結果、NAFLDが20歳以降の体重変化と強く関連し、この影響は正常体重の人でとくに大きかったことが報告された。この結果から、正常体重の健康な人でも早期および長期的な体重モニタリングが重要であることが示唆された。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2014年12月3日号に掲載。
著者らは、健康診断を受けた参加者からデータを収集し、超音波診断によるNAFLD有病率を、20歳以降の体重変化1kg刻みで調査した。相対リスク(RR)は、現在の体重(正常、過体重、肥満)によって層別化し、男女別に算出した。ロジスティック回帰を用いて、潜在的な交絡因子を調整したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・2万1,496人の参加者のうち、NAFLDが3,498例(16.3%)にみられた。
・20歳以降の体重増加に伴いNAFLDの有病率が増加した。10.1~11.0kg増加した群では、男性で41.6%、女性で24.8%がNAFLDであった。
・四分位による多変量解析により、体重増加が男性および女性のNAFLDリスクと有意に関連していることが示された。
・体重変化(10kg増ごと)に伴うNAFLDのリスクは、過体重および肥満の参加者に比べて、正常体重の参加者で有意に高かった。
正常体重 男性:OR 7.53(95%CI 4.99~11.36)
女性:OR 12.20(95%CI 7.45~19.98)
過体重 男性:OR 1.61(95%CI 0.91~2.85)
女性:OR 2.90(95%CI 0.99~8.54)
肥満 男性:OR 4.0(95%CI 2.97~5.39)
女性:OR 2.68(95%CI 2.00~3.60)
(ケアネット 金沢 浩子)