ステージIV大腸がんの原発巣切除率が減少、生存率は増加

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/21

 

 近年の効果的な新薬の登場により、ステージIV大腸がんにおいて原発巣切除はすべての患者で必須とはいえなくなっている。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのChung-Yuan Hu氏らは、米国におけるステージIV大腸がんでの原発巣切除実施と生存率の年次推移を検討した。それによると、1988年にはステージIV大腸がん患者の4人に3人が原発巣切除を受けていたが、2001年を境に切除率の減少が大きくなり、2010年には6割を切っていた。生存率は原発巣切除率の減少にもかかわらず改善した。著者らは「原発巣切除が不要な患者に対しても、いまだ切除が実施されている可能性があり、実際の治療はエビデンスに基づく治療ガイドラインより遅れている」と指摘している。JAMA surgeryオンライン版2015年1月14日号に掲載。

 本研究は、国立がん研究所による地域がん登録を用いた後ろ向きコホート研究である。1988年1月1日から2010年12月31日までにステージIV大腸がんと診断された6万4,157例について、人口統計学的および臨床的因子を原発巣切除実施の有無で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・ステージIV大腸がん6万4,157例のうち4万3,273例(67.4%)が原発巣切除を受けていた。
・原発巣切除率は、1988年の74.5%から2010年には57.4%へと減少し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の-0.41%が2001~2010年では-2.39%となっており、2001年を境に減少率が有意に大きくなっていた(p<0.001)。
・原発巣切除に関連していた因子は、50歳未満、女性、既婚、腫瘍悪性度が高い、結腸がん、などであった。
・相対生存率中央値は、1988年の8.6%から2009年には17.8%へと増加し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の2.18%が、2001~2009年では5.43%となっており、増加率は有意に大きくなっていた(p<0.001)。

(ケアネット 金沢 浩子)