乳児血管腫治療において、経口β受容体遮断薬プロプラノロール(3mg/kg/日)を6ヵ月間投与するレジメンが有効であったことが、フランス・ボルドー大学病院Christine Leaute-Labreze氏らによる無作為化比較の結果、報告された。
これまで、プロプラノロールによる乳児血管腫治療は行われているものの、その使用について無作為化比較試験による報告は限定的であった。NEJM誌2015年2月19日号の掲載報告。
試験は、多施設無作為化二重盲検適応デザイン第II/III相試験で、小児用経口プロプラノロール溶液の有効性と安全性の評価を目的とした。対象は1~5ヵ月の、全身療法を必要とする増殖性乳児血管腫の患児であった。
被験者は、プラセボ群またはプロプラノロール群の4レジメンに無作為に割り付けられた(1mg/kg/日または3mg/kg/日を、各々3ヵ月間または6ヵ月間投与)。
事前に予定されていた中間解析により用量・期間の選択と評価を行い、最終有効性解析で用いるレジメンが決定された。主要評価項目は、24週目時点の治療の成功(標的病変の完全/ほぼ完全な消失)または失敗であった。評価は標準化された画像によって、独立した中央登録で盲検的に行われた。
主な結果は以下のとおり。
・無作為化された460例の患児のうち、456例が実際に治療を受けた。
・24週の治療期間を終えた初期の188例による中間解析により、最終有効性解析に用いられるレジメンは、「3mg/kg/日を6ヵ月間」に決定した。
・24週時点のプロプラノロール群の治療成功率は、プラセボ群よりも有意に高かった(60% vs. 4%、p<0.001)。
・ベースラインから5週時点までに改善を示した割合は、プロプラノロール群がプラセボ群よりも有意に高かった(88% vs. 5%、p<0.001)。
・プロプラノロール群の治療を完遂した患児のうち、10%の患児が追跡期間(72週)中に全身療法を必要とした。
・プロプラノロールに関連する既知の有害事象として、低血糖、低血圧、徐脈、気管支痙攣がまれに発生したが、プラセボ群との間に有意差はみられなかった。
(ケアネット 森 幸子)