米国・ケンタッキー大学のRyan B Griggs氏らは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニストの反復投与により脊髄後角におけるグリア活性化が変化し、神経障害性疼痛様反応が減少することを明らかにした。PPARγは核内受容体であることから、遺伝子発現の持続性変化が疼痛減少に関与すると考えられているが、著者らはこれまでに、PPARγアゴニストであるピオグリタゾンの単回髄腔内注入が、ゲノム機構で必要とされる時間よりも短時間の30分以内に痛覚過敏を減少させることを示していた。今回の報告について著者らは、「脊髄性PPARγの活性化が標準的なゲノム活性から独立して神経障害性疼痛を急速に減少させることを示した最初の報告」と述べたうえで、「ピオグリタゾンは、1つにはアストロサイト活性化の減少によって、また、PPARγのゲノム性および非ゲノム性作用の両方を介して、神経障害性疼痛を速やかに阻害する」と結論付けた。Pain誌2015年3月号の掲載報告。
研究グループは、PPARγ活性化の迅速な抗痛覚過敏作用を検討する目的で、坐骨神経部分損傷ラットにピオグリタゾンを投与し痛覚過敏を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・ピオグリタゾンは、投与5分以内に痛覚過敏を抑制した。
・ピオグリタゾンの腹腔内または髄腔内投与による抗痛覚過敏作用は、PPARγアンタゴニストであるGW9662の全身投与または髄腔内投与によって阻害された。
・ピオグリタゾンとタンパク質合成阻害剤であるアニソマイシンを同時に髄腔内投与し7.5分間隔で評価した結果、投与初期はピオグリタゾンの抗痛覚過敏作用に変化はなかったが、後に減少した。
・坐骨神経部分損傷によって誘発されたGFAP発現の増加を、ピオグリタゾンは投与後60分以内に抑制した。
(ケアネット)