悪性黒色腫患者に対するイピリムマブの術後補助療法により、無再発生存が延長することが、フランスのギュスターヴ・ルシーがん研究所のAlexander M M Eggermont氏らにより、報告された。
これまでイピリムマブは、切除不能または転移性悪性黒色腫に使用されている(本邦では未承認)が、Eggermont氏らは再発リスクの高いステージIIIの患者における完全切除後の効果について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2015年3月31日号掲載報告。
試験は、19ヵ国91施設で実施された。対象はこれまで全身的療法を受けていないステージIIIの皮膚黒色腫患者で、十分なリンパ節郭清(1mm以下の深達度のリンパ節転移または所属リンパ節までの皮下・皮内転移を除く)を行った患者の術後補助療法として実施された。
被験者は無作為にイピリムマブ群(10mg/kg静脈内投与)とプラセボ群に1:1に割り付けられ、3週間おきに4回、その後3ヵ月ごとに最長3年投与された。無作為化はステージ、地域別に行われた。
主要評価項目は無再発生存で、独立した評価委員会によってintention to treat解析で評価された。
主な結果は以下のとおり。
・2008年7月10日から2011年8月1日までの間に、イピリムマブ群475例、プラセボ群476例(計951例)が登録され、全員がintention to treat解析に入れられた。
・追跡期間中央値2.74年(IQR:2.28~3.22年)の間に528例(イピリムマブ群234例、プラセボ群294例)でイベントが生じた。
・無再発生存期間中央値はイピリムマブ群26.1ヵ月、プラセボ群17.1ヵ月(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.64~0.90、p=0.0013)であった。
・3年無再発生存率はイピリムマブ群46.5%、プラセボ群34.8%であった。
・グレード3~4の自己免疫反応による有害事象は、胃腸[イピリムマブ群75例(16%)、プラセボ群4例(<1%)]、肝[イピリムマブ群50例(11%)、プラセボ群1例(<1%)]、内分泌[イピリムマブ群40例(8%)、プラセボ群0例]であった。
・イピリムマブ投与による有害事象により、471例中245例(52%)が治療を中断し、5例(1%)が死亡した。死亡の内訳は3例が大腸炎(うち2例は胃腸穿孔)、1例が心筋炎、1例がギラン·バレー症候群と多臓器不全であった。
Eggermont氏らは「悪性黒色腫の術後補助療法としてのイピリムマブの投与量およびスケジュールのリスク・ベネフィットの比較には、無転移生存、全生存の評価項目によるさらなる調査が必要だ」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)