統合失調症患者、どんな剤形を望んでいるのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/20 統合失調症に対する抗精神病治療のベネフィットとリスクに関連した患者の選好を定量化し、治療の特性やアドヒアランスの相対的重要性を評価することを目的とした研究を、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社のBennett Levitan氏らが実施した。その結果、統合失調症の病識がある患者は陽性症状の改善が最も重要な治療効果であると考えていること、また、アドヒアランス良好の患者は月1回注射剤より経口剤のほうが好ましいと考え、逆にアドヒアランス不良の患者は経口剤より月1回注射剤のほうが好ましいと考えていることが明らかになった。Psychiatric Services誌オンライン版2015年3月16日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症と医師に診断されたと自己申告した米国住民を対象に、離散選択実験(discrete-choice experiment)という手法を用いた調査を行った。陽性症状・陰性症状・社会的機能の改善という3つの特徴と体重増加・錐体外路症状(EPS)・高プロラクチン血症・高血糖の出現という矛盾する仮想のシナリオおよび薬剤の剤形を提示し、その選択における患者の選好度を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・最終的な解析対象は、271例であった。 ・最も重要な治療ベネフィットとは、陽性症状の完全消失(相対的重要度スコア10)で、次いで高血糖の消失(3.6、95%信頼区間[CI]:2.6~4.6)、陰性症状の改善(3.0、1.6~4.3)、体重増加の減少(2.6、1.2~4.0)、高プロラクチン血症の回避(1.7、0.9~2.6)、社会的機能の改善(1.5、0.4~2.5)、EPSの回避(1.0、0.3~1.8)の順であった。 ・アドヒアランスが良好の患者は、3ヵ月ごとの注射剤より月1回注射剤のほうが、月1回注射剤より毎日の錠剤のほうがより好ましいと判断していた(いずれもp<0.01)。 ・アドヒアランスが不良の患者は、毎日の錠剤より月1回注射剤のほうがより好ましいと判断していた(p=0.01)。 ・最も重要な有害事象として挙げられたのは、高血糖であった。 関連医療ニュース 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Levitan B, et al. Psychiatr Serv. 2015 Mar 16. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)