フルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)による日光角化症の治療は、2年以上にわたり有用で、病変数や追加初回治療を減少させることが、米国・ブラウン大学のHyemin Pomerantz氏らにより報告された。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。
フルオロウラシルクリームによる日光角化症治療が、病変数の減少に有用であることはこれまでも報告されていたが、長期的な効果を観察したランダム化試験はなかった。そこでPomerantz氏らは、フルオロウラシルクリーム5%単剤投与の長期的な有用性を観察するため、二重盲検プラセボ対照試験のThe Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)trialを実施した。
試験は、過去5年以内に2部位以上の皮膚角化細胞がんを有した退役軍人を対象として行われた。2009年から2011年に12ヵ所の退役軍人医療センターの皮膚科で登録され、2013年まで追跡された。フルオロウラシル群、プラセボ群ともに平均追跡期間は2.6年であった。
合計932例が登録され、無作為にフルオロウラシル群(468例)、プラセボ群(464例)に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、4週間塗布された。日光角化症の病変数と治療内容の確認は、皮膚科医によって登録時および6ヵ月ごとに行われた。顔、耳の日光角化症病変部位での追加治療を要した病変数は、半年ごとに記録された。
主な結果は以下のとおり。
・割り付け時の両群の顔と耳の病変数に差はみられなかった(フルオロウラシル群11.1、プラセボ群10.6、p<0.10)。
・無作為化後6ヵ月時点において、フルオロウラシル群ではプラセボ群よりも病変数が減少していた(フルオロウラシル群3.0、プラセボ群8.1、p<0.001)。この結果は、全期間を通して同様であった(p<0.001)。
・フルオロウラシル群では6ヵ月時点の病変の完全消退率が高く(フルオロウラシル群38%、プラセボ群17%)、全期間を通じてフルオロウラシル群では追加治療を要した割合が少なかった(p<0.01)。
・フルオロウラシル群では、初回追加治療を要するまでの期間が長かった(フルオロウラシル群6.2ヵ月、プラセボ群6.0ヵ月、ハザード比 0.69、95%信頼区間:0.60~0.79)。
・肥大した病変数は、6ヵ月時点ではフルオロウラシル群で少なかった(フルオロウラシル群0.23、プラセボ群0.41、p<0.05)が、最終的には差はみられなかった(p=0.60)。
(ケアネット 森 幸子)