呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/25 わが国では2002年、統合失調症に対するスティグマを軽減するため、精神分裂病から統合失調症へと呼称変更が行われた。しかし、その長期的な影響はあまり知られていない。東京大学の小池 進介氏らは、呼称変更から12年でどのような影響があったかを調査した。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2015年5月7日号の報告。 20大学、計259人の学生に匿名の自己記入式アンケートを実施した。調査項目は、自身のメンタルヘルス関連の経験、統合失調症、精神分裂病、うつ病、糖尿病の4疾患に対する認識(feasible knowledge)を含むスティグマスケールとネガティブな固定概念であった。また、統合失調症、認知症、10種類の精神または身体的な疾患および状態の新旧名称を選択させた。 主な結果は以下のとおり。 ・参加者は、精神分裂病よりも統合失調症に対してのほうが、認識がより高くネガティブな固定概念がより少なかった。しかし、これらはうつ病や糖尿病と比較すると有意に悪いものであった(p<0.01)。 ・精神衛生上の問題を抱えている人と直接関わった経験を持つ人では、ネガティブな固定概念ではなく、統合失調症の認識との関連が認められた(β=0.13、p=0.020)。 ・統合失調症の新旧名称の正解率は、認知症よりも有意に低かった(41 vs. 87%、p<0.001)。 ・メディアによるメンタルヘルス関連の経験が、呼称変更の認識と関連していたが(p=0.008)、このことは新名称である統合失調症のより低い認識と関連していた。 結果を踏まえ、著者らは「呼称変更から12年経過し、統合失調症に対するスティグマは軽減された。より効果的なキャンペーンや教育カリキュラム、政策決定が統合失調症へのスティグマを軽減させるために必要とされている」とまとめている。 関連医療ニュース 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Koike S, et al. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. 2015 May 7. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)