海藻摂取と甲状腺がん発症に関連認めず~日本女性の大規模コホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/02

 

 ヨウ素の過剰摂取は甲状腺がんのリスク因子と考えられている。わが国では主に海藻からヨウ素を摂取し、その量は世界的にみても多い。国内のこれまでの疫学的研究では、海藻を毎日摂取すると閉経後女性で甲状腺がんリスクが4倍高くなり、それ以外では関連がなかったと報告している。今回、JACC研究(the Japan collaborative cohort study)グループは、1988~2009年に追跡したJACC研究で、日本女性の海藻摂取頻度と甲状腺がんリスクとの関連を調査した。その結果、閉経前後にかかわらず、海藻摂取と甲状腺がん発症率との関連は認められなかった。European journal of cancer prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。

 研究グループでは、ベースライン時に自己管理質問票で海藻摂取とその他の生活関連情報を収集し、海藻摂取頻度は、「1~2回/週以下」「3~4回/週」「ほぼ毎日」に分類した。海藻摂取頻度による甲状腺がん発症のハザード比と95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・3万5,687人をフォローアップした44万7,876人年の間に、甲状腺がんが新規に94例確認された。
・粗罹患率は10万人年当たり20.9であった。
・毎日海藻を摂取した女性における甲状腺がんのハザード比は、1~2回/週以下の女性と比べ、1.15(95%CI:0.69~1.90、傾向のp=0.59)であった。
・統計的な潜在的交絡変数調整によっても、閉経状況での層別化によっても、海藻摂取と甲状腺がんリスクの関連は認められなかった。

※JACC Study
最近の日本人の生活習慣ががんとどのように関連しているかを明らかにするために、文部科学省(当時文部省)の科学研究費の助成を受け、1988年に多施設が協力して開始された大規模なコホート研究。

(ケアネット 金沢 浩子)