長崎県・溝口眼科の溝口 尚則氏は、日本人の原発閉塞隅角症(PAC)および原発閉塞隅角緑内障(PACG)患者におけるプラトー虹彩の有病率、ならびにプラトー虹彩を有する患者の生体パラメーターを明らかにすることを目的として、超音波生体顕微鏡(UBM)を用いて分析する横断的観察研究を行った。その結果、レーザー虹彩切開術(LPI)後のPACおよびPACG患者におけるプラトー虹彩有病率は約20%であること、一方でプラトー虹彩の有無で前眼部に形態学的な違いは認められなかったことなどを報告した。Clinical Ophthalmology誌オンライン版2015年6月29日号の掲載報告。
PACおよびPACG有病率はアジア人で有意に高いことが知られ、LPIは第1選択の治療である。しかし、アジア人対象の報告で、LPIのみでは眼圧上昇を抑制できなかったことが報告されており、術後のプラトー虹彩を伴う虹彩と隅角の接触は隅角閉塞進行の原因の1つであることが示唆されていた。
また、LPI後のプラトー虹彩有病率について、シンガポールからは30%、中国からは60%とするなどの報告がこれまでに寄せられており、研究グループは本邦における状況を明らかにし、患者を見分ける特性を明らかにする検討を行った。
対象は、過去に単眼にLPIを受けたことのある50歳以上の91眼(PAC 58例、PACG 33例)であった(平均年齢:73.5±6.2歳)。
UBM検査を施行し、1象限に毛様体の前方回旋、毛様溝の消失、急峻化した虹彩根部、平坦な虹彩、虹彩と隅角の接触が認められた場合にプラトー虹彩と診断し、これらの基準を2象限以上認めたプラトー虹彩症例をプラトー虹彩あり群とした。また、超音波Aモードにより前眼部の前房深度、水晶体厚、眼軸長などを測定した。
主な結果は以下のとおり。
・UBMの判定基準に基づくプラトー虹彩あり群は、91眼中16眼(17.6%)であった。
・16眼中、プラトー虹彩を認めたのが2象限であった症例は10眼(62.5%)、3象限が4眼(25%)、4象限が2眼(12.5%)であった。
・プラトー虹彩あり群とプラトー虹彩なし群とで前房深度、水晶体厚、眼軸長、水晶体の位置などに統計学的な有意差はみられなかった。
(ケアネット)