緑内障点眼治療では点状表層角膜炎(SPK)などの眼表面障害がみられることがある。山口大学医学部眼科 准教授の鈴木 克佳氏らは、ベンザルコニウム塩化物(BAC)濃度を0.01%から0.001%へ低濃度に最適化したタフルプロスト(商品名:タプロス)の安全性および有効性を評価する多施設非盲検試験を行った。その結果、BAC最適化タフルプロストは眼圧下降効果を維持しつつSPKを軽減することが示され、著者は「BAC最適化タフルプロストは、プロスタグランジン関連点眼薬で治療中にSPKが認められた緑内障患者に対する治療選択肢となりうる」と報告している。Journal of Glaucoma誌2015年8月号の掲載報告。
試験は、他のプロスタグランジン関連薬による点眼加療中の緑内障患者のうちSPKが認められ、1眼のAD(area-density)スコアが6ポイント未満の患者30例を対象とした。BAC濃度最適化タフルプロストに変更して12週間投与し、前治療と比較した。
主要評価項目は、点眼変更後12週における変更前からのADスコアの変化、副次的評価項目は涙液層破壊時間(TBUT)、充血スコア、眼圧とした。
主な結果は以下のとおり。
・治療中断のため、4例が解析から除外された。
・ADスコア(平均±標準偏差[SD])は、変更後3.4±0.9から1.8±1.8に有意に低下した(p<0.0001)
・涙液層破壊時間は、6.3±3.3秒から8.0±4.2秒に有意に増加した(p<0.01)。
・充血スコアに変化はなかったが、眼圧は15.6±2.6mmHgから14.4±2.0mmHgに有意に下降した(p<0.01)。
・前治療がBAC含有ラタノプロスト(17例)またはビマトプロスト(2例)の患者では、ADスコアは3.4±0.9から1.8±1.8へ有意に低下した(p<0.01)。TBUTは、6.4±3.6秒から8.2±4.3秒へ有意に増加した(p<0.01)。前治療がsofZia含有トラボプロスト(7例)の患者ではそのような変化はみられなかった。
(ケアネット)