統合失調症の推定生涯有病率、最新値は何% 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/15 統合失調症の有病率に関する研究結果は一貫性に欠けており、最近のシステマティックレビューはない。そこで米国・Evidera社のJason C Simeone氏らは、住民ベースの最新の有病率を推定し、推定有病率の変動に関する要因を解明することを目的にシステマティックレビューを行った。結果、推定生涯有病率は約0.5%であることを示した。本レビューについて著者らは「統合失調症に関する疫学の最新情報であり、研究間の推定有病率の差異を明らかにした点に意義があるだろう」と述べたうえで、「全体としてエビデンスはまだ少なく、新たな研究は確認されなかった」とまとめている。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年8月12日号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、Embase、PsycInfoを用い2003~2013年に発表された一般住民における統合失調症の有病率に関する観察研究を検索し、1990~2002年のレビュー論文も追加した。施設入所者、ホームレス等の特殊集団における推定有病率に関する報告は除外して評価を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・レビューには65試験が組み込まれた。うち31件(48%)は欧州で行われ、35件(54%)は5万例以上を対象としていた。 ・12ヵ月間の推定有病率中央値は0.33%、四分位範囲(IQR)は0.26~0.51%であった(21試験)。 ・推定生涯有病率中央値は0.48%(IQR:0.34~0.85%)であった(29試験)。 ・有病率は、研究デザイン、地理的地域、評価時期よび研究の質のスコアによって異なったが、サンプルサイズと有病率との関連はみられなかった。 ・年齢調整推定有病率は粗推定有病率より17~138%高値であった(9試験)。 ・狭義の統合失調症と比較し、より広義の統合失調症スペクトラム障害の定義を使用すると、同定された症例は18~90%増加した(6試験)。 ・入院患者のみにおける生涯有病率は、あらゆる受診患者と比較して60%低かった(2試験)。 ・一貫した傾向は、診断基準の違いのため認められなかった。 関連医療ニュース 呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存 統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Simeone JC, et al. BMC Psychiatry. 2015;15:193. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症、脳容積とIQの関連 医療一般(2015/07/17) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 生成AIにも認知機能障害!?/BMJ(2025/01/10) 外傷患者への早期の酸素投与、制限的vs.非制限的/JAMA(2025/01/10) 乳がん手術におけるセンチネルリンパ節生検の省略、全身治療選択への影響は?(解説:下村昭彦氏)(2025/01/10) ポラツズマブ ベドチン+R-CHPのDLBCL1次治療、5年追跡でも有効性確認 (POLARIX)/ASH2024(2025/01/10) 高K血症治療薬patiromerが心不全治療を最適化-DIAMOND試験サブ解析(2025/01/10) テクリスタマブ、再発/難治多発性骨髄腫に承認/J&J(2025/01/10) 抗精神病薬誘発性体重増加にGLP-1受容体作動薬セマグルチドが有効(2025/01/10) 若年性大腸がんが世界的に増加(2025/01/10) 乳がん患者の脱毛に対するミノキシジル投与は安全かつ効果的(2025/01/10) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)