乾癬治療薬の安全性は生物学的製剤でも変わらない? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/23 ドイツで実施された中等度~重症乾癬患者の登録試験において、従来の全身治療薬と生物学的製剤では、感染症、心血管系イベント、悪性腫瘍の発生などの安全性に差はみられなかったことが、ドイツ・ハンブルク大学のKristian Reich氏らにより報告された。Archives of Dermatological Research誌オンライン版2015年9月10日号掲載の報告。 本登録試験「PspBest」は、中等症~重症乾癬患者を対象とし、従来の全身治療薬と生物学的製剤について長期の有効性と安全性を調査することを目的として、2008年から251ヵ所の皮膚センターで実施された。 各治療薬の安全性評価にあたっては、重大な感染症、悪性腫瘍、主要有害心血管イベントに焦点が当てられた。2012年6月までに2,444例(女性40%、平均年齢47.3歳[SD 14.1]、平均罹患18.2年[SD 14.7])が登録された。平均PASIスコアは14.7、皮膚科領域に特化したQOL指標 であるDLQIは11.1、平均BMIは28.2であった。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての有害事象の100人年あたりの発現率は、従来の全身治療薬投与群で1.3(SD 0.9)、生物学的製剤群で1.5(SD 1.2)で有意差はみられなかった(p>0.5)。 ・重大な感染症の発現は、従来の全身治療薬群0.33(95%CI:0.13-0.54)、生物学的製剤群0.65(95%CI:0.35~0.98)であった。 ・主要な心血管イベントの発現は、従来の全身治療薬群0.56(95%CI:0.29~0.97)、生物学的製剤群0.77(95%CI:0.41~1.31)であった。 ・非黒色腫皮膚がんを除く悪性腫瘍の発現は、従来の全身治療薬群0.46(95%CI:0.22~0.84)、生物学的製剤群0.49(95%CI:0.21~0.97)であった。 ・単一の薬剤間で安全性パラメーターに差はみられなかった。 (ケアネット 森 幸子) 原著論文はこちら Reich K, et al. Arch Dermatol Res. 2015 Sep 10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] Dr. 倉原の“おどろき”医学論文(2013/08/21) 抗がん剤皮膚障害セミナー(2)マルチキナーゼ阻害薬I最新情報(2013/09/27) 「内臓疾患が関与する皮膚病変」ミニアトラス(2013/06/25) 「内臓疾患関与のない皮膚病変」ミニアトラス(2013/06/18) 症例クイズ「がんを合併する1例の診断」(2013/06/04) 聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】<下巻>(2013/05/13) ダーマトロジー エキスパートQ&A(2013/05/02) 聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】(上巻)(2013/01/06) Dr.夏井の創傷治療大革命(2012/12/01)