中間部、後部および全ぶどう膜炎に対するフルオシノロンアセトニド(FA)眼内インプラントと全身性ステロイド療法の有用性を比較した、米国・ペンシルバニア大学のJohn H. Kempen氏らによるMulticenter Uveitis Steroid Treatment(MUST)試験の4.5年の追跡調査において、視覚機能および黄斑浮腫に対する改善効果は両群で類似しておりどちらも良好であることが示された。結果を踏まえて研究グループは、「費用対効果と副作用を考慮すると、全身療法は多くの両側性ぶどう膜炎患者に対する初回治療として適応があるだろう。しかし、片側性ぶどう膜炎患者や全身療法ができないまたは無効の患者に対しては、眼内インプラントは適切な治療選択肢である」と報告をまとめている。Ophthalmology誌2015年10月号(オンライン版2015年8月20日号)の掲載報告。
研究グループは、中間部、後部および全ぶどう膜炎患者255例を対象としたMUST試験において、無作為化後54ヵ月までの延長追跡調査を行った。
主要評価項目は、最高矯正視力(BCVA)、視野平均偏差(MD)、ぶどう膜炎の活動性、および黄斑浮腫の有無であった。
主な結果は以下のとおり。
・ぶどう膜炎眼の視覚機能の改善推移は、ベースラインから54ヵ月後まで両群で類似しており、中等度の改善が認められた。
・54ヵ月時におけるBCVAの平均改善は、FA眼内インプラント群2.4文字、全身療法群3.1文字であった。患者の多くはベースラインの視力が優れており、改善に限りがあった。
・MD値は、両群とも追跡調査期間48ヵ月全体を通してベースライン値が維持されていた。
・炎症の抑制については、すべての評価時点でFA眼内インプラント群が優れていた(p<0.016)。しかし、全身療法群もほとんどの眼で炎症は大きく改善していた。
・黄斑浮腫は、無作為化後最初の6ヵ月以内ではFA眼内インプラント群で有意な改善がみられたが、全身療法群でも経時的に改善し、36ヵ月以降は同等となった(48ヵ月時p=0.41)。
(ケアネット)