体内の必須元素濃度の異常や有毒な微量金属への曝露は、眼を含む多くの器官系に影響を及ぼし、さまざまな疾患の発症に関与することが示唆されている。米国・カリフォルニア大学のShuai-Chun Lin氏らは、韓国の住民を対象とした横断研究を行い、血中マンガン濃度低値と血中水銀濃度高値が、緑内障と関連していることを明らかにした。著者らは、「緑内障発症における微量金属の役割を確認するためには、前向き研究により緑内障の発症が微量金属の存在で増加するかどうかを確かめる必要がある」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2015年10月号の掲載報告。
研究グループは、微量金属の体内濃度と緑内障の有病率との関連を調べることを目的に、韓国の第4回国民健康栄養調査(2007~09年)における2年次および3年次(2008年1月1日~09年12月31日)のデータを用い、19歳以上の2,680例について血液または尿中の金属濃度と眼疾患との関連を調べた。
緑内障の診断はISGEO(International Society of Geographical and Epidemiological Ophthalmology)の基準に基づいた。また、患者背景、併存疾患および健康に関連した行動については問診で情報を得た。主要評価項目は緑内障の有無であった。
主な結果は以下のとおり。
・血中マンガン濃度は、潜在的交絡因子調整後の緑内障診断のオッズ比と負の関連があることが認められた(オッズ比[OR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.21~0.92)。
・血中水銀濃度は、緑内障の有病率と正の関連を認めた(OR:1.01、95%CI:1.00~1.03)。
・血中カドミウム濃度、血中鉛濃度および尿中ヒ素濃度については、緑内障の診断との間で決定的な関連は確認されなかった。
(ケアネット)