原発開放隅角緑内障(POAG)は世界的に罹患率が高く、不可逆的な視力喪失の原因で最も多い。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のTianjing Li氏らは、POAGに対するファーストライン(第1選択薬)の効果についてシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。その結果、ビマトプロスト、ラタノプロストおよびトラボプロストで有効性が高いことを報告した。ただし、「薬剤の選択にあたっては、副作用や患者の好み、あるいは医療費などすべての因子を考慮しなければならない」と著者はまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2015年10月31日号の掲載報告。
研究グループは、POAGまたは高眼圧患者に対する第1選択薬の有効性を比較検討し、相対的な順位を明らかにする目的で、実薬点眼単剤治療と無治療/プラセボまたは他の実薬点眼単剤治療と比較した無作為化比較試験をCENTRAL、MEDLINE、EMBASEおよびFDAのWEBサイトから検索した。
2人の研究者が独立して試験の適格性を評価し、データをまとめ、バイアスリスクを評価するとともに、ベイジアン・ネットワークメタ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・無作為化比較試験114件(計2万275例)をレビューに組み込んだ。
・バイアスリスクは全体的に混在していた。
・すべての第1選択薬は、治療3ヵ月時の眼圧低下の点で、プラセボより有効であった。
・治療3ヵ月時の眼圧低下平均値(95%信頼区間)[mmHg]が大きい薬剤から順に並べると以下のとおり。
ビマトプロスト 5.61(4.94~6.29)
ラタノプロスト 4.85(4.24~5.46)
トラボプロスト 4.83(4.12~5.54)
レボブノロール 4.51(3.85~5.24)
タフルプロスト 4.37(2.94~5.83)
チモロール 3.70(3.16~4.24)
ブリモニジン 3.59(2.89~ 4.29)
カルテオロール 3.44(2.42~4.46)
レボベタキソロール 2.56(1.52~3.62)
アプラクロニジン 2.52(0.94~4.11)
ドルゾラミド 2.49(1.85~3.13)
ブリンゾールアミド 2.42(1.62~3.23)
ベタキソロール 2.24(1.59~2.88)
ウノプロストン 1.91(1.15~2.67)
・上位3剤(ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト)は、同一種類で差は少なく、順位に臨床的な意義はないと思われる。
(ケアネット)