lifitegrastは、ドライアイに関与するT細胞を介した炎症を抑制するインテグリン拮抗薬である。米国・Tauber Eye CenterのJoseph Tauber氏らによる12週間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OPUS-2試験)の結果、lifitegrastはドライアイ症状を有意に改善し、主要評価項目を達成した。ただし、もう1つの主要評価項目である角膜下側染色スコアについては有意な改善を認めなかった。眼の有害事象はほとんどが軽度~中等度であり、予期しない有害事象はなかった。結果を踏まえて著者は、「lifitegrastはドライアイ治療薬としてさらなる検討が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌2015年12月号(オンライン版2015年9月11日号)の掲載報告。
試験は、18歳以上の成人ドライアイ患者で、30日以上人工涙液を用いるも角膜下側染色スコア(0~4)が0.5以上、無麻酔下シルマーテストで1以上10mm以下、ドライアイ症状スコア(視覚的アナログスケール[VAS]:0~100)が40以上の基準を満たした718例を対象とした。
14日間の導入期(プラセボ投与)の後、lifitegrast点眼液5.0%投与群(358例)またはプラセボ群(360例)に無作為化し、1日2回84日間投与した。
主要評価項目は、ドライアイ症状スコアならびに角膜下側染色スコアのベースラインから84日目までの変化量。副次評価項目は、試験眼の不快感スコア、眼不快感スコア、試験眼の角膜染色スコア、および試験眼の鼻側結膜リサミングリーン染色スコアのベースラインから84日目までの変化量で、治療下で発現した有害事象についても記録した。
主な結果は以下のとおり。
・lifitegrast群では、プラセボ群と比較してドライアイ症状が有意に改善した(治療効果[変化量の群間差]:12.61、95%信頼区間[CI]:8.51~16.70、p<0.0001)。
・角膜下側染色スコアは、両群間で差はなかった(治療効果:0.03、95%CI:-0.10~0.17、p=0.6186)。
・副次評価項目についても、症状改善はlifitegrast群が優れていた(試験眼の不快感:名目上の(nominal)p=0.0005、眼不快感:名目上のp<0.0001)が、角膜染色スコアおよび鼻側結膜染色スコアは両群間で差はなかった。
・眼の有害事象は、lifitegrast群(33.7%)がプラセボ群(16.4%)より多かったが、重篤な有害事象はなかった。
(ケアネット)