12月14日、都内にて、医療ビッグデータ・コンソーシアム(代表世話人統括 本庶 佑氏)の記者会見が開催され、「医療ビッグデータ・コンソーシアム 政策提言2015」を発表した。
日本では、医療ビッグデータが各医療機関または研究機関で独自に構築・収集・管理されており、その構築・利活用は他の先進国に比べ周回遅れと評されている。同コンソーシアムは、医療ビッグデータを「つなぐ」「活かす」「変える」の3つの提言を行った。概要を以下に報告する。
医療ビッグデータを「つなぐ」「活かす」ことで日本を「変える」
「つなぐ」では、個人識別により連結可能な環境を目指し、データの統一的指針の確立、個人IDによる連結などを提言。全量調査や大規模ゲノムコホートを推進するとともに、個人の健診データ、電子カルテデータ、レセプト情報、介護情報などを医療ビッグデータとして「つなぐ」将来を目指す。
「活かす」では、積極的な利活用のためNDB(ナショナルデータべース)の民間企業への開放を提言。新たな産業の創出を目指す。これにより期待されることとして、医療機関では医療の質の向上や効率化、製薬会社では開発の促進、創薬の効率化およびコストダウン、研究機関では疾患の原因解明、予防法の解明などが挙げられるとした。また、医療産業や健康産業のみならず、金融、不動産など生活に関わる産業への活用も含まれている。
一方、データの連結や営利目的でのデータの利用に関しては課題もあるとし、国には個人情報保護法の適切な運用や法律、規制等の整備を求めるとしている。
「変える」では、医療ビッグデータによる新しい知見を積極的に情報発信することで、国民のヘルスリテラシーを向上させていくことを提言。個人データ提供のベネフィットを国民に伝え、国と国民との共有財を創造し、結果として超高齢社会における国民皆保険制度の維持・実現を目指す。
※医療ビッグデータ・コンソーシアム
産官学政の有志参画の下、2014年に発足。「ヘルスケア」「ライフサイエンス」「予防医療・健康情報」の3分野に分けて研究部会を設置。毎年12月に内閣官房長官、総務省、文科省、厚労省、経産省などの事務次官に政策提言を手渡し、その実現を促す。
会員企業は16社。製薬企業では、アステラス、大塚、参天、塩野義、第一三共、武田、中外が参画している。
(ケアネット 山西 歩純)