先行研究で、15~22歳の近視/強度近視について出生順との関連を調べた結果、長子のほうが次子以降よりも約10%多いとの報告がある。同関連について英国・カーディフ大学のJeremy A. Guggenheim氏らは、40~69歳集団について調べ、より上の世代でも同様の傾向がみられるのか、また関連の傾向は「次子以降では親の教育熱心さが低減するから」という仮説によって予測可能なのかを検証した。その結果、仮説を裏付ける結果が得られたという。JAMA Ophthalmology誌2015年12月号の掲載報告。
検討は、2006~10年のUK Biobank登録者を断面調査して行われた。視力評価を受けており、白人、眼障害なしと自己申告した40~69歳、8万9,120例を特定し、構造化アンケートにて出生順と最終学歴など潜在的な交絡因子情報を調べた。
主要評価項目は、ロジスティック回帰分析による、出生順にみた近視(自動屈折計で-0.75 d以下)および強度近視(同-6.00 d以下)のオッズ比(OR)で、年齢と性別で補正(モデル1)、年齢、性別と最終学歴で補正(モデル2)し評価した。
主な結果は以下のとおり。
・モデル1(学歴について未補正)において、出生順(例:長子 vs.第2子)と近視/強度近視の関連が認められた。ORは、近視1.12(95%信頼区間[CI]:1.08~1.16、p=1.40E-11)、強度近視1.21(同:1.11~1.30、p=3.60E-06)だった。
・モデル1において、近視のリスクは出生順が後になるほど低下する用量反応が認められた。
・モデル2(学歴について補正後)では、モデル1でみられた出生順と近視/強度近視の関連に関する効果サイズが、約25%減弱し、ORはそれぞれ1.09(95%CI:1.05~1.12、p=1.30E-06)、1.15(同:1.06~1.25、p=4.60E-04)だった。また、明白な用量反応がみられなくなった。
・これらのデータから、出生順と近視の関連は、ここ30~40年に派生した新たな環境圧力に起因するものではないことが示唆された。
・また、学歴の影響について補正後の減弱した効果サイズから、次子以降への両親の教育投資の減少が、相対的に近視からの保護につながっていることが裏付けられた。
(ケアネット)