70歳以上の高齢者では自動車衝突事故率が急増するが、視野障害と事故率との関連については一貫した研究結果が得られていなかった。米国・アラバマ大学のMiYoung Kwon氏らは地域住民ベースの後ろ向き研究を行い、高齢ドライバーの中で緑内障を有する人は有していない人と比較して過失のある事故率が高く、運転視野の障害が関連している可能性があることを明らかにした。Ophthalmology誌2016年1月号(オンライン版2015年10月14日号)の掲載報告。
研究グループは、高齢ドライバーにおける緑内障と自動車衝突事故との関連、ならびに視野障害の影響について、後ろ向き研究を行い調査した。
対象は、アラバマ州中北部に住む70歳以上のドライバー2,000例。州の記録より、本研究に登録前5年間における過失のある自動車衝突事故について調査した(主要評価項目)。また、視覚機能として、両眼遠距離視力、両眼コントラスト感度(CS)および両眼運転視野を測定した。
主な結果は以下のとおり。
・緑内障のドライバー(206例)は非緑内障ドライバーと比較して、年齢および精神状態で調整した自動車衝突事故率が1.65倍高かった(95%信頼区間[CI]:1.20~2.28、p=0.002)。
・緑内障ドライバーにおいて、自動車衝突事故率は視力およびCSとは関連していなかったが、重篤な視野障害がある人はない人と比較して調整済事故率が2.11倍高かった(95%CI:1.09~4.09、p=0.027)。
・視野を6つの区域(水平線、垂直線、水平線より上半分と下半分、垂直線より左側と右側)に分けると、緑内障ドライバーでは左側、上および下半分の視野障害が高い事故率と関連した。なかでも左側の視野障害は、他の区域に比べ3.16倍と最も高かった(p=0.001)。
(ケアネット)