近視の有病率、2050年には全世界で約50%に

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/03/02

 

 地域あるいは人種における近視ならびに強度近視の有病率は、個々の研究で異なっており、近視の増加についてはわからないままである。オーストラリア・Brien Holden Vision InstituteのBrien A. Holden氏らは、近視および強度近視の有病率についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、いずれも2000年に比べ2050年には世界的に顕著な増大が予測され、近視は約50億人、強度近視は約10億人に上ることを示した。著者は、「眼鏡などの矯正サービス、近視関連眼合併症や失明の予防・治療など統合的な眼科医療サービスが必要となることを示唆する結果であった」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年2月11日の掲載報告。本論はオープン論文で、地域ごと(環太平洋アジア高所得国、東アジアなど)の分析結果も示されている。

 研究グループは、PubMedで1995年以降発表された近視の有病率に関する論文を検索した。データは、近視を-0.50D以上、強度近視を-5.00D以上と定義して2010年時点で標準化し、各国の都市部または農村部など地方の住民で、0歳から100歳以上まで5歳ごとの年齢層別にまとめた。その後、世界の疾病負担研究(GBD)対象の21地域内でメタ解析し、2000年から2050年まで10年ごとに近視の有病率を推定した。

 各国における有病率の推定には、国連人口部(UNPD)の都市部データおよび人口データも用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・145件の研究から計210万例のデータが組み込まれた。
・2000年時点で、近視の推定患者数は14億600万例(95%信頼区間[CI]:9億3,200万~19億3,200万例)で世界人口の22.9%(95%CI:15.2%~31.5%)、強度近視は1億6,300万例(8,600万~3億8,700万例)で世界人口の2.7%(1.4%~6.3%)であった。
・2050年時点では、近視は47億5,800万例(36億2,000万~60億5,600万例)で世界人口の49.8%(43.4%~55.7%)、強度近視は9億3,800万例(4億7,900万~21億400万例)で世界人口の9.8%(5.7%~19.4%)になると推定された。

(ケアネット)