高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/04/06 ドネペジルは、軽度、中等度、高度のアルツハイマー病(AD)に対する治療薬として確立している。国際的研究では、認知機能において、ドネペジル徐放性製剤(SR)23mg/日はドネペジル即放性製剤(IR)10mg/日を上回る優れた有効性が実証されているが、中等度から高度ADにおける全般的機能についてはわかっていない。認知症介護研究・研修東京センターの本間 昭氏らは、日本人高度ADにおいて、ドネペジルSR23mg/日の効果が、同IR10mg/日を上回るかの検討を行った。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 本研究は、多施設無作為化二重盲検並行群間試験にて実施された。日本人高度AD外来患者を対象に、IR10mg/日継続群とSR23mg/日切り替え群とに無作為に割り付け、24週投与した。評価項目は、Severe Impairment Battery(SIB)、臨床面接による認知症変化印象尺度(Clinician's Interview-Based Impression of Change plus Caregiver Input:CIBIC-plus)と安全性とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、IR10mg/日継続群(166例)とSR23mg/日切り替え群(185例)に割り付けられた。 ・SR23mg/日切り替え群は、IR10mg/日継続群と比較し、SIB(LSMD:0.0、95%CI:-1.7~1.8、p=0.981)またはCIBIC-plus(LSMD:0.2、95%CI:0.0~0.4、p=0.080)において有意な差は認められなかった。 ・SR23mg/日切り替え群における一般的な有害事象は、食欲不振、嘔吐、下痢、挫傷であった。安全性所見については、ドネペジルにおける既知の安全性プロファイルと共通だった。 著者らは「日本人高度AD患者において、SR23mg/日への切り替えは、IR10mg/日継続と比較し、有効性評価項目で優れているとは言えなかった。日本では、高度AD患者に対し、10mg/日が承認されていることを考慮すると、現在の知見は、日本人の同患者に対しては10mg/日が最適な用量であることを示唆している」としている。 関連医療ニュース 高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度? 中等度~高度のアルツハイマー型認知症に対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Homma A, et al. J Alzheimers Dis. 2016 Mar 11. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ドネペジルの効果が持続する期間は?:国内長期大規模研究 医療一般 日本発エビデンス(2015/08/05) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)