緑内障点眼治療の片眼トライアルは簡便で有効

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/19

 

 緑内障の薬物治療では、真の眼圧下降効果を評価することが重要となる。英国・ノッティンガム大学病院のAnthony J. King氏らは、プロスタグランジン関連薬による単剤治療について、片眼のみ1週間早く点眼を開始する片眼トライアルの前向き試験を行い、この方法は未治療眼の治療への反応の予測に有効であり、先行投与眼の効果が他眼への治療効果も予測できることを示した。著者は、「治療開始翌日にも同じ時間に眼圧を測定するなどの治療効果チェックのための追加受診は必要ない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年5月5日号の掲載報告。

 研究グループは、異なる時点で緑内障点眼治療を開始する片眼トライアルの妥当性を調べる目的で、2008年10月1日~09年11月30日の間に、未治療の原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者計30例を対象に前向きコホート試験を行った。

 対象患者は、初回受診(V0)時に登録後、週1回、7週間受診し(V1~V7)、毎回、午前8時、午前11時、午後4時に両眼の眼圧を測定した。V3受診後に試験眼で、V4受診後に他眼で、トラボプロスト(0.004%)による治療を開始した。

 評価項目は、試験眼に関する未調整眼圧下降幅(V0時の眼圧とV4時の眼圧の差:[V0-V4])、調整眼圧下降幅(試験眼[V0-V4]と他眼[V0-V4]の差)、および真の眼圧下降幅(試験眼のV1・2・3時の平均眼圧とV5・6・7時の平均眼圧の差)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・30例の患者背景は、平均年齢64.4±12.6歳(範囲:42~88歳)、男性11例/女性19例、高眼圧症16例、原発開放隅角緑内障14例であった。
・未調整眼圧下降幅は、真の眼圧下降幅より大きかった。両者の差(平均±標準偏差)は、午前8時、午前11時および午後4時においてそれぞれ2.5±4.8、3.1±3.8および4.9±4.4 mmHgであった。
・調整眼圧下降幅は、真の眼圧下降幅とほぼ同じであった。両者の差は各測定時でそれぞれ0.43±3.87、0.02±2.82、-0.40±3.90mmHg。
・未調整眼圧下降幅と真の眼圧下降幅との相関は、0.55(95%信頼区間[CI]:0.23~0.76)、片眼トライアルで調整した場合は0.72(95%CI:0.49~0.86)であった。
・他眼の治療への反応は、すべての測定時で相関していた(r:範囲0.78~0.86)。
・治療は、眼圧日内変動に影響しなかった。

(ケアネット)