高眼圧の治療において、アドヒアランスの改善はアンメットニーズのままである。この問題を解決するため、ビマトプロストを含むシリコンのマトリックスポリマーとポリプロピレンの支持構造物から成る柔らかいリングを眼の表面に留置する方法が開発された。米国・カリフォルニア大学デービス校のJames D. Brandt氏らは、開放隅角緑内障または高眼圧症患者を対象に、このビマトプロストリングとチモロール1日2回点眼を比較する多施設共同無作為化並行群間比較二重盲検第II相試験を行い、ビマトプロストリング留置により6ヵ月間にわたり平均眼圧の低下が観察され、安全性および忍容性は良好であることを明らかにした。著者は「ビマトプロストリング留置は、アドヒアランスを改善し、安定した薬物の送達により眼圧が低下することから、毎日の点眼に代わる治療法となり得るだろう」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年5月5日号の掲載の報告。
対象は、開放隅角緑内障または高眼圧症の成人患者130例であった。主な適格基準は、眼圧が午前8時で23mmHg以上34mmHg以下、午前10時および午後4時で20mmHg以上34mmHg以下、手術歴なし、プロスタグランジン関連薬に対する既知のノンレスポンダーではないなどであった。
被験者を、ビマトプロストリング留置+人工涙液1日2回点眼(ビマトプロスト群)、またはプラセボリング留置+チモロール0.5%液1日2回点眼(チモロール群)に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間治療を行った。
ベースライン、2週後、6週後、12週後、4ヵ月後、5ヵ月後および6ヵ月後に、入院にて1日3回(午前8時、午前10時および午後4時)、眼圧を測定した。
有効性の主要評価項目は、2週後、6週後および12週後の計9回の各測定ポイントでのベースラインからの眼圧の変化量で、非劣性マージンを眼圧変化量のビマトプロスト群とチモロール群の差の95%信頼区間の上限が1.5mmHgとした。
主な結果は以下のとおり。
・6ヵ月後のベースラインからの眼圧変化は、ビマトプロスト群で平均-3.2~-6.4mmHg、チモロール群で-4.2~-6.4mmHgであった。
・主要評価項目については、非劣性が認められたのは9ポイントのうち2ポイントのみであった。
・有害事象は、ビマトプロスト群とチモロール群で類似しており、予期しない眼の有害事象は観察されなかった。
・6ヵ月間のリング保持率は、全体で88.5%であった。
(ケアネット)